炭素税は日本でいつから導入されている?負担者や導入された理由を解説! | 太陽光 | 再生可能エネルギー | 株式会社グッド・エナジー

炭素税は日本でいつから導入されている?負担者や導入された理由を解説!

炭素税は日本でいつから導入されている?負担者や導入された理由を解説!

炭素税の導入が新たに施行されます。私たちの生活に直接関係する可能性があり、政府の動向には注目したいポイントです。本記事では、以下の項目に関して解説を進めます。

  • 炭素税はいつから導入されるのか
  • 炭素税の目的と徴収方法など
  • 諸外国と日本の炭素税の比較
  • 企業または個人に対する影響は
  • 2028年から新たに「化石燃料賦課金」が始まる

炭素税は、私たちが日常生活で使用している化石燃料に対して課せられる税金です。

化石燃料とは、太古の生物の死骸が地層の中で長い年月をかけて分解され、エネルギー資源として利用できるようになったものです。石油や石炭、天然ガスなどが代表的な化石燃料で、ガソリンや灯油、発電やガスなど、人間の経済活動に広く利用されています。

今後導入が本格的になった場合、どのような目的と使途で徴収されるのか?本記事では、国際的な動きと、今後の動向も合わせた情報を解説しています。ぜひ最後までご覧ください。

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炭素税とは?導入時期や目的

日本で炭素税が導入されたのは、2012年になります。納税者は、化石燃料の輸入者です。導入の目的は、「低炭素社会の実現に向けたCO2排出抑制対策強化」です。

炭素税では、「CO2排出量1トンあたり、298円の税率」が設定されています。日本は諸外国と比較して、税率負担が少ない国です。以下の表で諸外国との税率を比較しています。(当時の為替レート円換算)

国名重油(産業用)天然ガス(産業用)
日本590円689円
フランス4,017円4,017円
スウェーデン17,015円17,485円
出典:【環境省】諸外国における炭素税等の導入状況 2017年度(一部抜粋)

上記の表からわかるように、脱炭素先進国と言われている欧州より税率が低く、国民の負担が少なくなっています。税収が設定されたことによる、「先行投資・脱炭素化インセンティブ」など、今後の政策も注目です。

炭素税の使用用途

日本で徴収される炭素税は、「年間2,623億円」と予測されます。この税収を活用する内容として、環境省から以下の事柄が発表されています。

  • 税収によって発生する価格シグナル(消費者に対して発する情報→性質・特性など)
  • 脱炭素化インセンティブや先行投資などの活性化
  • 税収を生かした技術の普及

上記の項目が発表されていますが、一方徴収方法や使い道は、今後議論される必要性もあります。以下に、議論が必要な内容をまとめています。

  • 確実性と削減量を確保することが難しい
  • エネルギーコスト上昇による投資意欲の低下
  • 税徴収による国際競争力低下

政府は増税した分を減税する仕組みなど、企業活動・個人活動において経済活動の妨げにならないよう検討を進めています。

出典:【環境省】炭素税について

企業や個人への影響

炭素税による、企業または個人への影響は、以下のような事柄が予測されます。

企業個人
事業展開場所が限られる(税率が安い国での事業展開が有利)食品・日用品などの値上げによる買い控え
CO2排出量が多い業種は税負担が大きくなる可能性がある(建設業・輸送業・鉄鋼業など)インフラ料金の値上げ(電気・ガスなど)

炭素税は、「炭素に価格を付けることで排出者の行動を変えよう」という税金です。特に化石燃料などを使用してビジネスを行う業種は、影響が大きいと懸念されています。

炭素税の仕組み

炭素税には「上流課税・下流課税」という2種類が存在します。上流課税は、化石燃料の輸入時に課税する税金です。

日本は、化石燃料を輸入に頼っているので徴収漏れの心配はありません。以下に、上流課税のメリット・デメリットをまとめています。

メリットデメリット
輸入時に一括して税率を加算するので、行政コストの削減に繋がる最終消費者に炭素税の実感が伝わりにくい
課税漏れを無くすことができる最終消費者に税負担の実感が無く、省エネに繋がりにくい

続いて、下流課税です。下流課税は、石油最終消費者(個人・企業)に対して課税される税金です。以下に、下流課税のメリット・デメリットをまとめています。

メリットデメリット
消費者に領収書等で税額を表示できる行政コストが増大する
CO2削減行動に繋がる徴収漏れが発生する可能性がある

「環境を守るために必要なコスト」という事が実感されない限り、エコへの取り組みは難しくなります。どの段階で炭素税を課税するのか、今後の課題となっています。

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炭素税について諸外国と日本を比較

炭素税導入国の税率推移
【環境省】諸外国における炭素税等の導入状況をもとに作成

欧米では早い段階で炭素税が導入されています。諸外国と比較した際の日本の炭素税率を見ていきます。

フィンランド

1990年、世界で初めて炭素税を導入したのはフィンランドです。フィンランドが炭素税を導入した背景には、所得税の軽減や企業の社会保障費の削減による税収減を補填する目的がありました。

導入当初は、税率が低かったものの、現在では税率が大幅に上昇しています。以下にフィンランドの税率変化をまとめています。

炭素税種1990(EUR/t CO2)2024年(EUR/t CO2)増加割合
熱利用1.1853約45倍
出典:【環境省】諸外国におけるカーボンプライシングの導入状況等

スウェーデン

フィンランドに続き、1991年に炭素税を導入したのがスウェーデンです。スウェーデンの炭素税導入には、化学物質によって環境や生態系が深刻な被害を受け「経済と気候の中立」を目指した経緯があります。以下にスウェーデンにおける税率の変化をまとめています。

炭素種別1991(SKE/t CO2)2024年(SKE/t CO2)増加割合
標準税率2501,330約5.3倍
出典:【環境省】諸外国におけるカーボンプライシングの導入状況等

日本

日本では2012年より炭素税が導入され、諸外国と比較すると税率は低いです。日本の炭素税の税率を、以下の表にまとめています。

炭素税種石油ガス石炭
税率(円)760780670
出典:【環境省】H28年4月時点 炭素税段階的施行イメージ

日本の炭素税は、導入されて以来ほとんど税率に変化はありません。また、諸外国は炭素税収を「一般会計」として扱っているのに対して、日本は「特別会計」として取り扱っています。

特別会計は税金の使途が透明になり、政策などを評価しやすいメリットがあります。

炭素税を導入するメリット

炭素税を導入する3つのメリットについて解説します。

二酸化炭素の排出量削減に有効

炭素税を導入することで、二酸化炭素削減に寄与します。炭素税は、「低炭素社会の実現に向けたCO2排出抑制対策強化」が目的です。この税金をもとに、地球温暖化対策の政策などに利用されると言われています。

一方で、以下のような懸念点もあります。

  • 税率が一律となり、消費者の負担となる可能性がある

炭素税を一律で課した場合、化石燃料などの価格が高騰する可能性が指摘されています。現在も価格高騰が続く化石燃料が、更に価格上昇すると低所得者に大きな影響が及びます。

一律で徴収した炭素税の一部を、低所得者に還元する政策を施行している国もありますので、今後の政策に注目です。

省エネに対する意識の向上

炭素税を導入することで、省エネに対する意識が向上します。例えば、以下のような省エネ行動につながると考えられます。

  • 製造過程でCO2排出が少ない製品が好まれる
  • サービスでもエコでクリーンなサービスが好まれる
  • 移動時もCO2排出量が少ないエコでクリーンな乗り物が好まれる

炭素税を導入することによって、上記のように企業・個人問わず省エネに対する意識が変化します。

脱炭素社会に向けた財源を確保

炭素税を導入することで、脱炭素社会に向けた財源を確保することが可能です。日本で徴収される炭素税は「特別会計」扱いとなり、脱炭素社会の実現に寄与します。

炭素税をもとに、今後新たな政策などにより、太陽光発電所や風力発電所などの再生可能エネルギーに対する普及補助金なども期待されています。

炭素税を導入するデメリット

続いて、炭素税を導入する際のデメリットを解説します。

消費者の負担が増加

炭素税の導入により、消費者の負担が増加します。前章で解説を行った「上流課税・下流課税」のどちらにせよ、最終負担は消費者に回ってきます。

高額な燃料税(炭素税)の影響で、フランスでは2018年7月17日に「黄色いベスト運動」と呼ばれるデモ行進が起こりました。政府は税の負担層に対して、どのようなメリットがあるのか?を伝えて活動を進める必要があります。

日本製品が不利になる場合がある

炭素税の徴収により、日本製品が不利になる可能性があります。日本は化石燃料を輸入に頼っており、製品を製造する段階や原材料で化石燃料を必ず使用します。

化石燃料を輸入した時点で、「上流課税」という炭素税が課せられるため、企業としては課税された分は、製造コストに上乗せを行い回収するしか方法がありません。

経済的な観点から、製品の価格競争・国際競争力も含めた議論と導入が必要です。

炭素税とカーボンプライシングの違い

カーボンプライシング

カーボンプライシングとは、地球温暖化対策の一環として、企業や個人などが排出する二酸化炭素(CO2)に価格をつけることで、排出者の行動変容を促す政策手法です。

ここでは、炭素税とカーボンプライシングの違いを解説します。炭素税はカーボンプライシングの手法の1つで、炭素税はCO2排出量に対して税金が課せられます。

炭素税の他にも、排出量取引制度・クレジット取引(炭素クレジット)などがあります。

排出量取引制度とは、CO2排出量に上限を定め、排出量が超過する企業と排出量枠が余剰する企業で取引を行う制度です。クレジット取引(炭素クレジット)とは、CO2削減を価値として捉え、余剰枠をクレジット枠として使用が可能で、売買を行う制度になります。

2028年から始まる化石燃料賦課金にも注目

化石燃料賦課金とは、2028年から導入され、温室効果ガス排出に対して金銭的なコストを課す制度のことです。主に化石燃料を輸入する企業に対して課税される仕組みで、導入後は徐々に金額を上げていくとされています。

化石燃料を多く使用する「鉄鋼産業・発電産業・交通産業」などは大きな産業の変革となります。化石燃料中心のエネルギー産業から、クリーンエネルギー中心へのシフトチェンジが始まります。

まとめ:日本の炭素税率は諸外国と比較して低い

本記事では、炭素税に関して以下のことを解説しました。

  • 炭素税の導入時期
  • 炭素税の諸外国と日本の比較
  • 炭素税導入によるメリット・デメリット
  • 炭素税とカーボンプライシングの違い
  • 2028年から始まる化石燃料賦課金

炭素税を導入することで、温室効果ガスの削減に寄与します。

一方で、原価コスト上昇や最終消費者にも負担が増えるのも事実です。税収の使途の透明化と還付金制度などの政策も、今後注目して確認したいポイントです。

また、化石燃料中心からクリーンエネルギーへのシフトが行われる化石燃料賦課金についても、注目したいポイントです。

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