FIP制度の概要を紹介!メリットやFIT制度との違いを分かりやすく解説 | 太陽光 | 再生可能エネルギー | 株式会社グッド・エナジー

FIP制度の概要を紹介!メリットやFIT制度との違いを分かりやすく解説

FIP制度の概要を紹介!メリットやFIT制度との違いを分かりやすく解説

FIP制度の概要を知りたい」

「FIP制度で太陽光発電の事業を検討している」

「FITとFIPの違いは?」

本記事は上記のお悩みを持つ方を対象に書いています。

FIP制度は再エネ電源設備の普及を目的に、2022年4月より導入された制度です。50kW以上の発電設備が対象で、期間はFIT制度と同様に20年間です。

本記事では、FIP制度について概要やFITとの違い、メリットデメリットについて解説しています。FIP制度に関して疑問や不安がある方は、ぜひ最後までご覧ください。

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FIP制度とは

FIP(Feed-in Premium)制度は再生可能エネルギーの普及を目的に、2022年4月より導入された制度です。

FIP制度導入の背景には、2020年10月に菅義偉内閣総理大臣によって宣言されたカーボンニュートラルの実現が関与しています。

政府は2030年までに再エネ電源比率を36〜38%まで引き上げることを目標にしていて、FIP制度を再エネ電源比率の向上させる手段として導入しました。

また、FIP制度と似た制度に、FIT(Feed-in Tariff )制度があります。FIT制度は固定価格買取制度とも呼ばれており、売電単価が固定されています。

FIP制度とFIT制度の違い」でも解説しますが、FIP制度は太陽光発電などの再エネ設備で発電した電気を売電した際に、売電収入にプレミアム(補助額)を上乗せします。

参考:【資源エネルギー庁】2030年に向けた今後の再エネ政策

参考:【総務省】2050年カーボンニュートラルに向けたコミットメント

FIP制度の対象となる設備

FIP制度は50kW以上の設備が対象となり、全ての設備が対象となるわけではないので注意が必要です。

50kW〜1,000kWの発電所は、FIT制度かFIP制度を選択することができます。1,000kW以上の発電所に関しては、FIP制度が適用されます。

すでにFITで運用開始している発電所は、途中でFIPに変更することが可能です。

ただ、一度FIPに変更するとFITに戻すことができないので注意しましょう。

また、FIP制度の売電期間はFIT制度と同じく20年間です。

設備容量適用される制度
50kW未満FIT制度
50kW~1,000kWFIT制度かFIP制度を選択
1,000kW以上FIP制度

FIP制度における利益の計算方法

FIP制度の利益は以下の計算で求めることが可能です。

FIP事業の利益=電力市場の収入+プレミアムーバランシングコスト

各値について解説します。

市場収入

市場収入は大きく2つあります。

市場収入=売電収入+非化石価値の収入

売電収入

太陽光発電で発電した電気を電力市場で売却します。FIP制度では市場価格と連動しているため、収入が変動する特徴があります。

非化石価値の収入

FIP制度では、非化石価値は発電事業者のものとなり、非化石価値市場で売却することが可能です。

FIT制度では固定価格に含まれていましたが、FIP制度では発電事業者が自由に売却することができます。

プレミアム(補助額)

FIP制度の認定を受けた発電事業者は、売電収入にプレミアム(補助額)を上乗せして受け取ることが可能です。

以下にプレミアム(補助額)の計算式を示します。

プレミアム(補助額)=基準価格ー参照価格

基準価格は設備導入費用や投資回収の見込み金額などを考慮して設定される金額です。

基準価格はFITと同様に20年間固定で、金額は1年ごとに調達価格等算定委員会が決定しています。

参照価格は前年の市場価格を参考に決定します。市場価格の平均値が、基準価格から差し引きされると理解しておきましょう。

バランシングコストとは

FIP制度を導入する場合、事業者はあらかじめ発電量の計画値を決めておきます。

FIP制度では計画値と実測値を一致させる必要があり、この仕組みをバランシングと呼びます。

計画値と実測値に乖離がある場合、発電事業者はバランシングコストを支払わなければなりません。バランシングコストはペナルティ料金と覚えておきましょう。

FIP制度を活用する発電事業者は、バランシングコストを抑えるために、より正確な計画値をシミュレーションし実測値を出していく必要があります。

FIP制度とFIT制度の違い

FIT制度、FIP制度は再エネ電源を普及させるために導入された制度です。

FITとFIPの大きな違いは卸電気市場と連系しているかどうかです。FIP制度では市場価格と連動しているため、時間帯によって買取価格が変動します。

買取価格にプレミアムを上乗せすることにより、市場価格よりも高い買取価格で売電することが可能になります。

一方で、FIT制度は時間帯で変動する市場価格とは関係なしに、買取価格が固定されていることが大きな特徴です。

FIT制度は安定した利益を実現可能で、FIP制度は市場価格の動きに合わせて利益が変動する特徴があります。

事業の規模やリスク許容度などの観点から、どちらの制度が自社に適しているのか、まずは太陽光発電の専門業者に相談してみることも重要です。

FIP制度を導入するメリット

FIP制度を導入するとどのようなメリットがあるのでしょうか。それぞれ解説します。

再エネ賦課金の負担が減少する

FIT制度で発電した電気を買い取るためには費用がかかります。

その費用は、需要家(電気を使う全ての人)が再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)と呼ばれる税金を支払うことで賄っています。

賦課金の単価は、2023年度には下がりましたが、上昇傾向となっていることが課題です。

2024年度の賦課金単価は3.49円で、FIT初期における2012年の0.22円と比較すると、単価は約16倍になっています。

参考:【東京電力】再生可能エネルギー発電促進賦課金単価

FIP制度でも再エネ賦課金がなくなることはありません。

ただ、FIP制度では発電事業者によるコスト削減が促進されるため、需要家の負担が減少すると期待されています。

売電の利益を拡大できる可能性がある

FIP制度を活用することで売電収入の増加を期待できます。

市場価格が高い時に売電を行えば、FITの買取価格よりも高く売電できる可能性があります。

蓄電池を活用して効率的に売電を行うことで、収益の最大化を図ることが可能です。

FIT期間の20年が終わってしまう設備でも、FIPに移行して事業を継続することが可能です。

電力需給バランスが安定しやすい

FIP制度では電力需給バランス(インバランスリスク)が安定しやすいメリットがあります。

インバランスとは電力の需要と供給の差分のことです。電力需給バランスの均衡が崩れると、大規模な停電が起こってしまう可能性があります。

FIT制度では電気を固定で買い取るため、発電した電気が余剰となってしまうリスクがありました。

FIP制度では発電事業者が電力需給バランスを意識することで、国内の電力需給バランスの安定性が増すと期待されています。

蓄電池の需要が高まる

FIP制度の導入で蓄電池の普及が拡大すると期待されています。

FIT制度では必ず発電した電気を電力会社が買い取るため、FIP制度と比較して蓄電池の必要性が低かったと言えるでしょう。

一方、FIP制度を活用する場合、バランシングコストを極力抑えるように努力する必要があります。

蓄電池を活用することで、余剰に発電した場合は蓄電池に充電し、逆に発電量が少ない時は蓄電池から送電や売電を行うなど、臨機応変に対応することが可能です。

FIP制度で最大限の利益を出すために、蓄電池の需要が高まると期待されています。

アグリゲーションビジネスの拡大を期待できる

アグリゲーターとは、電力需給バランスを把握し、効率的なエネルギーの供給を促進する事業者を指します。

需要家と売電事業者の中間に立ち、電力需給バランスを束ねます。FIP制度が導入された目的でもある「再エネ電源の主力化」を実現するために、再エネ電源と電力市場を統合していくことがポイントです。

例として、アグリゲーターが電力会社から節電の指令を受け取った際は、需要家まで節電の指令を出します。

実際に節電が実施された際は、アグリゲーターは電力会社から報酬を受け取ります。

報酬は需要家にも支払いが行われるので、需要家の利益にも寄与するのです。

発電事業者の代わりに、需給バランスを確認しつつ電力をコントロールできる観点から、アグリゲーションビジネスに注目が集まっています。

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FIP制度を導入するデメリット

ここまでFIP制度を導入するメリットを解説しました。続いて、FIP制度を導入するデメリットを解説していきます。

利益の安定性が下がる

前章で、FIP制度の導入で利益を拡大できる可能性があると述べましたが、利益の見通しが難しくなるといったデメリットもあります。

FIP制度の場合は市場価格とプレミアムの影響を大きく受けます。FIT制度のように買取単価が固定されていないので注意が必要です。

新たにFIP制度を活用した発電事業を検討している方は、FITとFIPのどちらが適しているのか、まずは太陽光発電の専門業者に相談してみることがおすすめです。

融資を受けにくい可能性がある

安定的に将来の収支予測を立てやすいことから、FIT制度の場合は融資が通りやすい傾向があります。

一方で、FIP制度は長期的に利益を確保するという観点で収支の予測を立てづらく、金融機関などから融資が出づらい傾向があります。

FIP制度で設備を新設する場合、FITに比べて融資が出づらくなることを理解しておきましょう。

バランシングを考慮する必要がある

FIP制度の事業者は、発電の計画値と実測値を一致させるバランシングを求められます。

計画値と実測値に乖離がある場合、バランシングコスト(ペナルティ料金)を支払う必要があります。

曇りや雨の日には発電量が落ちる、自然災害の影響で設備が故障する、など、太陽光発電は天候や自然災害の影響を受けやすい設備です。

FIP制度を検討するときは、再エネの特徴を考慮しておくことが重要です。

FIP制度を検討するなら、グッド・エナジーにご相談ください

FIP制度は再エネ電源の普及や自立化を目的に導入された制度です。2022年4月から導入が始まり、50kW以上の設備が対象です。

本記事ではFIP制度について、概要や利益の計算方法、メリットデメリットについて解説を行いました。FIT制度に比べて制度の仕組みが複雑になると理解しておくことが重要です。

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