産業用太陽光発電に蓄電池は必要?価格やメリット、選び方などを解説
産業用太陽光発電に蓄電池は必要でしょうか。本記事は「蓄電池をつけるべきか」「蓄電池をつけることで電気代は安くなるか」と疑問に感じる方に向けて書いています。
電気代の高騰問題から、発電した電気を自社施設で使用する「自家消費型太陽光発電」が注目されています。売電価格が減少傾向にあることから、「電気を売る」から「電気を使用する」流れに市場が変わりつつあります。また、蓄電池を併設すれば、発電した電気を貯めておくことが可能です。
本記事では、蓄電池の必要性やメリット、導入時のポイントを解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
産業用太陽光発電に蓄電池は必要?
発電した電気を自社施設で消費することを目的にした太陽光を「自家消費型太陽光発電」と呼びます。蓄電池を併設して電気を貯めておけば、夜間や災害時などの緊急時でも、電気を供給できるメリットがあります。
蓄電池を設置しない場合は、余った電力を電力会社に売電することが可能です。
ただ、売電価格は下落傾向にあるため、売電よりも、発電した電気を自社施設で活用することが主流になっています。
産業用蓄電池と家庭用蓄電池の違い
また、産業用蓄電池と家庭用蓄電池の違いは、主に価格と容量です。産業用蓄電池は、工場やビルなどの大規模施設に設置することを前提に設計されているため、導入費用は数百万円から数千万円と高額になるケースが多いです。サイズも大きい分、設置するために広いスペースが必要になります。
一方で、家庭用蓄電池は数十万で設置できる場合があり、製品によっては1~2人で運べるほど大きさもコンパクトです。
蓄電池の種類
蓄電池には様々な種類があることをご存じでしょうか。主な蓄電池の特徴を下記の表にまとめているので、参考程度にご覧ください。
NAS電池 | 容量が大きく寿命が長いため、産業用で活用されることが多い。 |
鉛畜電池 | 低コストで生産可能で、再生可能できる。自動車のバッテリーに活用されている。 |
リチウムイオン電池 | 急速充電が可能。小型で軽量な特徴がある。 |
ニッケル水素電池 | 自己放電率が低く、充電しておいた電力を長期間保有できる。 |
ニッケル・カドミウム電池 | 急速な放電が可能。人体に有害な物質であるカドミウムが含まれている。 |
リチウムポリマー電池 | 長時間の使用が可能で、液漏れのリスクが低く安全性が高い。 |
産業用蓄電池の価格・設置費用の相場
家庭用蓄電池の設置相場は、1kWhあたり15万円と言われています。産業用蓄電池の設置相場は、家庭用のおよそ1.5倍です。(※蓄電池の種類によって費用は異なります。)
蓄電池の種類ごとの目安費用は、費用が高い順から「リチウムイオン電池>ニッケル水素電池>鉛蓄電池>NAS蓄電池」となり、1kWhあたり4~20万円の差が出ます。例として、容量100kWhの蓄電池を導入する場合は、およそ2,000万円(20万円/kWh×100kWh)の初期費用がかかります。
蓄電池は後から設置することも可能です。その際は、パワコンの設置年数を確認して蓄電池を選びましょう。後付けに関しては、後ほど(5-1節で)解説します。
また、太陽光と蓄電池のセット割引を行っている業者もいるので、セットで購入した方がお得になる場合もあります。
太陽光発電に蓄電池を設置するメリット
太陽光発電に蓄電池を設置するメリットは「電気代の削減」や「停電時の電力確保」など複数あります。それぞれ深堀りして解説します。
電気代を削減できる
蓄電池を設置することで、電気代を削減できるメリットがあります。早朝や夜間は蓄電池に電力を貯めておき、消費電力が大きい昼間の時間帯に電気を使用することが可能です。消費電力が小さいときに電気を貯めておき、消費電力が大きいときに電気を使用することを「ピークシフト」と呼びます。電力会社から購入する電力を減らし、電気代削減に貢献することが可能です。
特に、消費電力が大きい工場や大型施設では、蓄電池による電気代削減の恩恵を受けることができます。
停電時に電気が使える
停電時や災害時などの非常時には、非常用電源の役割を果たします。蓄電池に貯めた電気を使用することで、企業の場合は電力供給が途絶えた状況でも活動を継続することが可能です。BCP対策(災害などの非常時に損害を最小限に抑え、迅速に事業復旧を図るための計画)の一環として、蓄電池の導入は有効です。
また、停電時に自社だけでなく、地域に電源を供給できる企業は、社会的貢献を果たすことから企業のイメージアップに繋がる可能性もあります。BCP対策を目的に自家消費型太陽光発電と蓄電池を導入する企業は増えています。
自家消費を活用できる
発電した電気の余剰分は、電力会社に売電することが可能です。
ただ、売電価格は年々下落している傾向があります。下落した理由の1つは、太陽光発電に係る技術の進歩です。FIT当初よりも低コストで機器を開発できることから、売電価格が下がっても利益を出せると判断され売電価格が減少しています。
上記のことから分かるように、太陽光発電は「電気を売る」から「電気を使う」流れにシフトしつつあります。自家消費型太陽光発電と蓄電池の導入は、「企業の運営コストの低下」や「持続可能な社会の実現」に貢献できるため、今後も注目が高まることでしょう。
太陽光発電に蓄電池を設置するデメリット
ここまで蓄電池を設置するメリットを解説しました。続いて、蓄電池を導入するデメリットを解説します。
設置スペースが必要
蓄電池を設置するデメリットの1つは、必要になる設置スペースです。産業用蓄電池は家庭用に比べて広いスペースを必要とします。本体に加えて、蓄電池の配線を通すためのスペースも必要になります。上記の理由から、設置スペースは想定よりも広めに確保しておくことが重要です。蓄電池の設置を検討したら、まずは専門業者に相談し自社に合う設置計画を立てましょう。
寿命がある
蓄電池自体に寿命が存在します。蓄電池の寿命は、使用可能なサイクル回数によって判断することが可能です。サイクルとは、蓄電池を0%から100%まで充電した後に、0%まで放電する過程のことです。サイクルが一定数に達すると、蓄電池の最大蓄電容量が徐々に低下します。突然使用できなくなるわけではないので安心してください。蓄電池の目安サイクル数と寿命を下記の表に記載します。
種類 | サイクル数・寿命(目安) |
NAS電池 | 4,500回・15年 |
鉛蓄電池 | 3,150回・17年 |
リチウムイオン電池 | 3,500回・10年 |
ニッケル水素電池 | 2,000回・5年 |
費用がかかる
蓄電池を設置する際は、ある程度の初期費用が必要になります。蓄電池の導入費用の項目には、以下の3つが関与します。
- 蓄電池の本体価格
- 設置工事費
- 電気工事費
ただ、資源エネルギー庁の資料によると、家庭用蓄電池の目標価格は年々減少していることが分かります。蓄電技術をより発展させるため、低コスト化の技術開発等の方策が進められています。
年度 | 家庭用蓄電池の目標価格(万円/kWh) |
2016年度 | 20 |
2017年度 | 15 |
2018年度 | 12 |
2019年度 | 9 |
2020年度 | 6 |
このまま減少傾向が続くことが理想ですが、蓄電池の素材であるリチウムイオンの需要は高まっています。そのため、これ以上蓄電池の導入費用が下がることは難しいという意見も出ています。蓄電池の費用動向については、注意深く観察を続けていきましょう。
太陽光発電の蓄電池を選ぶポイント
蓄電池を長期的・安全に運用するために、いくつかのポイントや注意点を押さえておくことが重要です。
まずは、蓄電池の容量です。自社で使用する電力量に適した蓄電池の容量を選択することが重要です。消費電力や適切な容量など、細かい部分は業者と相談しながら把握していきましょう。業者と連携して、蓄電池を設置するための十分なスペースを確保します。
また、緊急時における電力供給の優先度も決めておきましょう。稼働させたい機器の優先順位を決めておくことで、限られた電力を効果的に使用することができます。
蓄電池の設置地域に応じた注意点も考慮する必要があり、内容は下記の通りです。
地域 | 特徴 |
塩害地域 | 塩分が蓄電池に損傷を与え、早期劣化の原因となる可能性がある。塩害対策が施された蓄電池もある。 |
積雪地帯 | 積雪による蓄電池の損傷や故障のリスクがある。設置場所に気を付ける。 |
極端な温度差がある地域 | 蓄電池は極端な温度差に弱い。性能が低下する可能性があるため、気温にも配慮する。 |
グッド・エナジーでは、お客様に合わせて、電気代削減やBCP対策に最適な産業用蓄電池を提案させていただきます。まずはお気軽にご相談ください。
蓄電池を後付けする場合
太陽光発電に蓄電池を後付けする際は、パワコンの寿命に注目しましょう。パワコンの寿命は15年~20年と言われており、蓄電池を選択する1つの基準となります。
基準としては、パワコンの設置から15年以上が経過している場合は、パワコンごと交換できる「ハイブリッド型」蓄電池の導入がおすすめです。パワコンを設置して間もない場合は、「単機能型」蓄電池を選択すると良いでしょう。
ただし、単機能型の蓄電池は、既存のパワコンと新たに設置する蓄電池用のパワコンの2つが存在するため、変換ロスが発生し、発電効率が約5%ほど低下する可能性があります。
単機能型とハイブリッド型の主な比較は下記の通りです。
単機能型 | ハイブリッド型 | |
パワコン | 内臓(既存と2つになる) | 太陽光発電と一体 |
導入コスト | 安い | 高い |
出力 | 低い | 高い |
産業用蓄電池に利用できる補助金制度
脱炭素社会を実現するために、蓄電池は重要な役割を果たします。国が蓄電池の普及を促進しているため、蓄電池に利用できる多くの補助金が用意されています。産業用蓄電池に活用できる主な補助金(令和6年度)は下記の通りです。
- 【環境省】地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業
- 【環境省】民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業
- 【環境省】浄化槽システムの脱炭素化推進事業
- 【経済産業省】需要家主導太陽光発電導入促進事業
- 【東京都】再エネ導入拡大を見据えた系統用大規模蓄電池導入支援事業
グッド・エナジーでは補助金についてもサポートを行っています。「自社で補助金を利用できるか知りたい」など、まずはお気軽にご相談ください。
太陽光発電や蓄電池に関してはグッド・エナジーにおまかせください
蓄電池を導入することで、電気代の削減やBCP対策に貢献できることを解説しました。
三菱総合研究所の資料によると、2015年における国内定置用蓄電システムの導入量は約1,000MWhで、2021年時点では6,000MWhを超えました。日本国内における蓄電池の市場が、年々拡大していることが分かります。
電気代高騰の問題から、今後も自家消費型太陽光発電を導入する企業が増えることが予測されます。自家消費型太陽光発電と蓄電池は相性が良く、セットで導入することがおすすめです。
グッド・エナジーは、太陽光発電の提案・施工・メンテナンスまで一貫して行う太陽光の専門企業です。自家消費型太陽光発電や蓄電池についても知識が豊富で、お客様に最適なプランを提案させていただきます。太陽光のプロによる無料のヒアリングを行っているので、お気軽にお問い合わせフォームよりご連絡ください。
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