アモルファスシリコン太陽電池の特徴は?欠点や製品メーカーも解説 | 太陽光 | 再生可能エネルギー | 株式会社グッド・エナジー

アモルファスシリコン太陽電池の特徴は?欠点や製品メーカーも解説

アモルファスシリコン太陽電池の特徴は?欠点や製品メーカーも解説

フレキシブル性に優れ、設置場所の自由度が高い「アモルファスシリコン太陽電池」が注目されており、シリコン太陽光パネルとは違った特徴があります。

本記事では、以下について詳しく解説を進めます。

  • アモルファスシリコン太陽電池とは
  • アモルファスシリコン太陽電池の欠点・長所
  • 他の太陽光パネルとの違い

本記事を読むことで、アモルファスシリコン太陽電池の特徴や、他の太陽光パネルの特徴もご理解いただけます。ぜひ、最後までご覧ください。

アモルファスシリコン太陽電池の特徴

アモルファスシリコン太陽電池は、薄膜でフレキシブル性を合わせもち・製造コストが安く、注目されている太陽電池です。アモルファスシリコン太陽電池が開発された背景を以下の表にまとめています。

現状の課題懸念される影響研究背景
資源の消費環境破壊へ繋がる使用材料の軽減
高コスト設備投資の意欲低下低コスト化の実現
発電所設置場所が限られる新規参入者事業者の減少業界の衰退発電所設置場所のエリア拡大

また、以下にアモルファスシリコン太陽電池の強みをまとめています。

  • 製造工程が簡単
  • 製造エネルギーが少ない
  • 使用材料が少ない
  • 大面積化が容易
  • 加工が容易なため製造コストが安い

アモルファスシリコン太陽電池には、現在の太陽光パネルの課題を解決できる可能性があります。

参考:光劣化しない革新的アモルファスシリコン太陽電池の作製をめざして

アモルファスシリコンの特徴

アモルファスとは、ケイ素を主体とし、現在主流の結晶シリコンと比較して「光の吸収率が高い」特徴があります。

一方、結晶シリコンは、他の太陽電池技術と比較して長寿命であり、信頼性も高いのが特徴です。以下に、アモルファスと結晶シリコンの光吸収率をまとめています。

太陽光パネル原材料アモルファス結晶シリコン
光吸収率(エネルギーハンドギャップ)1.1eV1.7eV

光吸収率(エネルギーハンドギャップ)とは、電力を発電するために、パネル内の電子が動くギャップ(すき間)になり、この数値が小さい程、少ない光エネルギーで発電が可能です。

単位は「eV(電子ボルト又はエレクトロンボルト)」を用いて表され、アモルファスは、エネルギーハンドギャップが結晶シリコンに比べて、数値が大きくなります。

アモルファスは、薄膜の素材になり、軽量です。住宅の屋根と一体型での設置、将来的にはスマートフォンや自動車・船舶などにも応用が期待されています。

アモルファスシリコン太陽電池の寿命は?

アモルファスシリコン太陽電池の経年劣化は、他のシリコンパネルと比べ早い特徴があります。アモルファスシリコンに強い太陽光を当てると、内部の水素結合が切れてしまい出力が低下するためです。

以下に、シリコン系太陽電池の目安寿命(経年劣化率)をまとめました。

太陽光パネルの種類5年時点の経年劣化率(%)
アモルファス5.7
単結晶シリコン3.2~3.9
多結晶シリコン2.3~2.8
ヘテロ接合(HIT)2.0
CIS1.4~1.5

上記の表から分かるように、他の太陽光パネルと比較して劣化進行率が高いため、使用可能な期間が限定的になる可能性があります。

アモルファスシリコン太陽電池の適切な用途

以下に、アモルファスシリコン太陽電池の適切な用途をまとめています。

  • 屋根の形状が変わったいる
  • 災害が多い地域や影の多い場所での設置
  • 建築材料・電子機器への搭載
  • 曲面・不規則な形状の場所への設置

アモルファスシリコン太陽電池は、薄型軽量であり設置場所の選択度が広がる可能性があり、日射量が少ない場所での発電も可能です。

アモルファスシリコン太陽電池の欠点

アモルファスシリコン太陽電池の欠点についても解説を進めます。

変換効率が低い

アモルファスシリコン太陽電池は、他のシリコン系太陽電池と比べて、変換効率が低く「約7~9%」程度です。他のシリコン系太陽電池の変換効率は「15~20%前後」となります。

以下に、各種太陽光パネルの変換効率をまとめています。

太陽光パネルの種類変換効率(%)
アモルファスシリコン7~9
多結晶シリコン15~18
単結晶シリコン15~20
ヘテロ接合19

アモルファスシリコン太陽電池の発電効率を改善する研究も進められており、今後の改善に期待したい所です。

寿命が短い

アモルファスシリコン太陽電池の寿命は長いとは言えません。前項でも解説をしましたが、他のシリコンパネルよりも経年劣化率が高い特徴があります。

アモルファスシリコン太陽電池は、結晶シリコンの並びが規則的ではなく「不規則」です。高温での出力が下がりにくい特性がある一方、発電効率は低くなります。

初期劣化によりロスが生じる

アモルファスシリコン太陽電池は、初期劣化により出力ロスが発生します。この出力ロスは、アモルファスシリコン太陽電池特有の「ステブラーロンスキー効果」です。

ステブラーロンスキー効果とは、不純物を含む不均質構造(等しくない数量)により発生する可能性、太陽光パネル全体の結晶結合の変化による部分が大きいとされています。

初期出力ロスは「約10%前後」となる場合が多く、原因を解明する研究が進んでいます。

大規模な発電には不向き

アモルファスシリコン太陽電池は大規模発電所には不向きとなります。以下に、大規模発電に不向きな理由をまとめました。

  • 変換効率が低い
  • 経年劣化率が高い
  • 初期劣化のため出力が低下する
  • 確立した施工方法がない
  • 耐熱性・耐雪性などの外的要因への耐性が未知数

上記のような理由から、大規模発電所には不向きとなります。広大な土地に太陽光パネルを設置する大規模発電所の場合、以下の項目を検討することが重要です。

  • 施工方法
  • 設置方法
  • 具体的なシュミレーション

特に施工方法に関しては、従来の工法では設置できる可能性が低く、新たな工法を確立させる必要があります。

アモルファスシリコン太陽電池のメリット5つ

アモルファスシリコン太陽電池のメリットを5つ紹介していきます。

光を吸収する能力が高い

アモルファスシリコン太陽電池は、光を吸収する能力が高いパネルです。前項でも解説しましたが、「エネルギーハンドギャップ」が高く、光の波長(約730nm)より波長の長い光は透過可能です。

例えば、上記には赤外線や電波が該当し、理論上では発電が可能になります。これまでの太陽光パネルでは、エネルギーに変換出来なかった光を、エネルギーに変換できる可能性があります。

加工性に長けている

アモルファスシリコン太陽電池は、加工性に優れています。電気へ変換可能な被膜の厚みは「約1μm(マイクロメートル)以下」です。

これは、現在主流のシリコン型太陽光パネルの「約1/100」の厚みとなります。

生産工程では、ステンレスなどの基盤に「シランガス(ケイ素と水素化物)」を吹き付けて生産するため、湾曲した素材などに加工・取付が容易になります。

生産コストを抑えられる

アモルファスシリコン太陽電池は、コストパフォーマンスが優れています。

製造方法の違いを、以下にまとめました。

太陽光パネルの種類製造方法特徴
単結晶太陽電池チョクラルスキー法・現在では確立された技術・表面加工・切削が必要・1,420℃で原材料を溶かす
アモルファスシリコン太陽電池スパッタリング法・被膜の付着力が強い・硬い被膜の形成・材質問わず被膜形成可能

アモルファスシリコン太陽電池は、製造時に高温で原材料を溶かす必要が無く、ガラス板などにシランガスという原料を直接吹き付るシンプルな製造方法です。

薄膜形成で使用できるので、使用材料も少なく安価に製造できるのが大きなメリットとなります。

高い温度下でも発電できる

アモルファスシリコン太陽電池は、高い温度下でも発電が可能です。理由は、結晶系シリコン太陽電池よりも温度上昇による出力の低下が少ないことが関係しています。

太陽光パネル温度が1℃上昇した際の、出力の低下率は「約0.25%程度」です。

夏場の温度下では、太陽電池の表面温度が70℃以上に達することもあり、その時の出力低下は「結晶系シリコン太陽光パネル約20%・アモルファスシリコン太陽電池では約11%」です。

アモルファスシリコン太陽電池は、高温特性に優れていることから高温地域・出力が下がる夏場での活躍が期待されています。

低照度でも発電しやすい

アモルファスシリコン太陽電池は、低照度でも発電できるメリットがあります。

結晶シリコン太陽光パネルと比べて、より多くの光を吸収し、照度が低い状態(屋内等)であっても、発電が可能です。以下に、アモルファスシリコン太陽電池が使用されている事例をまとめました。

  • 電卓
  • 時計
  • ウェアラブル機器(体に装着する電子機器)
  • 家電製品

アモルファスシリコン太陽電池は、低照度で発電可能なため、室内で使用する電子機器などにも使用できるメリットがあります。

アモルファスシリコン太陽電池の製品メーカー一覧

アモルファスシリコン太陽電池を取り扱っているメーカーを3つ紹介していきます。

以下に、取り扱いメーカーをまとめました。

会社名
製品名
所在国
カネカGRANSOLA(グランソーラー)日本
長州産業BシリーズGシリーズ日本
PanasonicP255α Plus日本

次世代に向けた太陽光パネルとして、普及が期待されています。

アモルファスシリコン太陽電池と他の太陽電池の違い

アモルファスシリコン太陽電池と他の太陽電池の違いを解説していきます。以下に、違いをまとめました。

太陽光パネルの種類特徴
アモルファスシリコン・薄型でフレキシブル・発電効率は他のパネルより低い・コストパフォーマンスが良い
単結晶シリコン・高い発電力・寿命が長い・製造コストが高い
多結晶シリコン・製造コストが単結晶と比べて安価・量産性が高い・発電力は、単結晶シリコンより劣る

シリコン系太陽光パネル以外にも、「化合物」「有機系」の、太陽光パネルが存在します。以下に、特徴をまとめました。

太陽光パネルの種類特徴
化合物・シリコン以外の原材料を使用
有機系・薄型軽量・電気変換層に有機化合物を使用・フレキシブル性がある・寿命が短い

まとめ:アモルファスシリコン太陽電池の特徴について解説

本記事では、アモルファスシリコン太陽電池について解説を進めました。

アモルファスシリコン太陽電池とは、従来のシリコン型太陽光パネルとは違い「薄型・軽量・低コスト生産」が可能な太陽光パネルです。

他のシリコン太陽光パネルでは設置が出来なかった「湾曲した場所・屈曲した場所」にも設置が可能になります。

コストパフォーマンスが良く、上記に該当する場所での事業を考えている方は、一度検討してみましょう。

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