CIS太陽電池の特徴やデメリットは?シリコン太陽電池との違いを比較

太陽光発電の導入やパネルの買い替えを検討されている方にとって、パネルの種類選びは非常に重要です。
最近では、従来のシリコン系太陽電池だけでなく、「CIS太陽電池」という新しい太陽電池に注目が集まっています。CIS太陽電池は、薄くて軽いだけでなく、曇りや高温といった厳しい環境下でも安定して発電できます。
本記事では、CIS太陽電池の課題やメリット、シリコン太陽電池との違いを分かりやすく解説します。ぜひ最後までご覧ください。
目次
CIS太陽電池の構造や特徴
CIS太陽電池は、銅(Cu)、インジウム(In)、セレン(Se)を主な原料とする化合物半導体太陽電池です。CISはこれらの元素の頭文字から名付けられています。
構造は、ガラス基板上に裏面電極、その上にCIS光吸収層、バッファ層、窓層半導体、透明電極層が重なる多層構造です。
CIS光吸収層の一部をガリウム(Ga)に置き換えたCIGS太陽電池も開発されています。
CIS太陽電池の最大の特徴は、光吸収率が非常に高く、2〜3μmという極薄い膜で成形しやすく、これは結晶シリコン太陽電池(200〜300μm)の1/100の厚さに相当します。
そのため、軽量化や曲面への設置、資源の有効活用が可能です。
CIS太陽電池の課題やリスク
CIS太陽電池はシリコン太陽電池と比べ、曇天や低照度下でも発電量が高いなど、期待が大きい太陽電池です。
しかし、発電効率の問題や、国内で採掘できないレアメタルが使われていること、さらに、国内企業が製造から撤退しているなどの課題やリスクも存在します。それぞれ解説します。
発電効率の限度
CIS太陽電池の発電効率は一般的に14〜15%程度で、20%前後の発電効率があるシリコン系太陽電池と比べて発電効率が高いとはいえません。
そのため、狭い面積で最大限の発電量を求める用途には不向きですが、広い面積を活用できる場所や、影のある場所、高温の環境下では安定した発電が期待できます。
近年ではNEDOとソーラーフロンティアによる23.35%の高効率セルも開発されているので、今後に期待できるでしょう。
レアメタル仕様による供給リスク
CIS太陽電池には、インジウムやガリウム、セレンなど希少な金属資源(レアメタル)が使われています。
レアメタルは日本国内での採掘が難しく、多くを海外からの輸入に頼っているため、国際的な需給バランスや価格変動の影響を受けやすいリスクがあります。
さらに、原材料の一部にはカドミウムなどの有害物質が含まれている場合もあり、パネルの破損や廃棄時に環境への影響が懸念される点もデメリットとしてあげられます。
国内メーカーの製造撤退
日本国内では、ソーラーフロンティア株式会社がCIS太陽電池を製造していました。
しかし、2022年6月をもって同社が生産から撤退したことで、国内メーカーによるCIS太陽電池の量産は終了しています。
現在、日本でCIS太陽電池を新たに入手する場合は、海外メーカーからの輸入を利用する形が主流です。主な製造国としては、中国やヨーロッパの一部メーカーがあげられます。
今後の国内メーカーからの新規調達は、中国メーカーのOEMに移行したソーラーフロンティア株式会社から入手することになります。
CIS太陽電池のメリット

CIS太陽電池には、他の太陽電池にはない以下のようなメリットがあります。それぞれ解説します。
- 低照度下でも高い発電効率
- 薄膜構造による柔軟性
- 高温下での安定性
低照度下でも高い発電効率
CIS太陽電池は、曇りなど低照度下でも高い発電効率を得られることが大きな特長です。天候が不安定な地域や設置場所に影ができやすい環境にも、CIS太陽電池を使用すれば発電できます。
これは、CIS太陽電池特有の光に対する高い感度と、電気の流れが分散される構造になっているからです。
そのため、パネルの一部にしか日光が当たらない場合でも、パネル全体への影響は受けにくく効率的に発電を続けることができます。
一方、シリコン系太陽電池は低照度や部分的な影の影響を受けやすく、発電量が大きく低下しやすい傾向があります。
薄膜構造による柔軟性
CIS太陽電池は、光を効率よく吸収できる特性を持つため、約2μm〜3μmという非常に薄い膜で製造が可能です。
従来のシリコン型太陽電池の200μm〜300μmと比べ、100分の1程度の厚さに抑えられています。この薄膜化により、シリコン系太陽電池よりも大幅に資源の使用量を抑えられることから、省資源にも貢献できます。
また、薄膜化によってパネル自体が軽量かつ柔軟になり、曲面や軽量化が求められる場所への設置や、均一に製造できることから面積の大きいパネルにも対応可能です。
高温下での安定性
CIS太陽電池は、高温環境に比較的強いという特長があります。シリコン系太陽光電池の最適温度は25℃と言われており、夏場にパネルの表面温度が約80℃に達した場合は、約30%の発電ロスが起きています。
一方で、CIS系太陽電池は温度係数が約-0.3%/℃と小さく、シリコン系約-0.45%/℃と比べても、温度上昇の影響を受けにくいのが特徴です
そのため、CIS太陽電池は温度変化による出力低下が抑えられ、真夏でも安定した発電が可能です。暑い季節や高温地域での設置に大きなメリットとなります。
CIS太陽電池とシリコン太陽電池を比較
CIS太陽光電池とシリコン系太陽電池、有機物系太陽光電池の性能を、比較表にしました。
項目 | 太陽光電池の種類 | ||
シリコン系 | 化合物系(CIS) | 有機物系 | |
特徴 | 高い耐久性と安定性がある | 薄膜・CO2排出量が少なく省資源 | 薄型軽量素材で厚さ約0.003mm |
主原料 | シリコン | 銅・インジウム・セレン | 炭素を含む有機物 |
製造コスト | 高い | 低い | 低い |
高温環境のパフォーマンス | 低い | 高い | 低い |
発電効率 | 18%~22% | 14%〜15% | 15%前後 |
低照度の環境 | 影響が大きい | 影響が少ない | 影響が大きい |
近年は、酷暑が長い期間続くようになりました。高温環境のパフォーマンスの高いCIS太陽光電池は、メリットが大きいと言えます。
それぞれの特徴を理解し、一番適した太陽光電池を選ぶようにしましょう。
太陽光発電のプロ視点から見るCIS太陽電池

グッド・エナジーでは、産業用太陽光発電所を複数所有しており、その中にはCIS太陽電池を採用した設備も含まれています。CIS太陽電池は高温や曇天、影の影響を受けにくく、安定した発電が期待できる点が特長です。
これから中古の産業用太陽光発電を始めたいと考えている個人のお客様にも、現地見学や導入相談など、安心してスタートできるサポート体制を整えています。
CIS太陽電池に限らず、多くの種類の太陽光発電設備を所有しています。太陽光発電に関して不安やお悩みがある場合はお気軽にご相談ください。
まとめ:CIS太陽電池の特徴やメリットを解説
本記事では、CIS太陽電池の構造や特徴、メリット・デメリット、そしてシリコン太陽電池との違いについて詳しく解説しました。
CIS太陽電池は、高温や曇天、影の影響に強く、薄膜構造による柔軟性や低照度下での安定した発電が魅力です。
国内メーカーの撤退により新規入手が難しくなっている現状がありますが、グッド・エナジーではCIS太陽電池を使用した中古物件も取り扱っています。
グッド・エナジーは、太陽光発電の買取・販売・メンテナンスを行い、中古設備を活用した投資や導入のご相談にも対応しています。
太陽光発電の導入をお考えの方は、ご質問やご相談など、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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