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太陽光発電の廃棄等費用積立制度とは?金額や期間、対象設備を解説

太陽光発電の廃棄等費用積立制度とは?金額や期間、対象設備を解説

2022年7月から、太陽光発電設備の廃棄物等費用積立制度が導入されました。

これまでFIT制度で廃棄物処理費用の積み立ては努力義務でしたが、実際に積み立てを行った事業者は2割以下でした。

そのため、10kW以上の太陽光発電所に対して積立が義務化されることになりました。

この記事では、経済産業省の「太陽光発電設備の廃棄物等費用積立制度について」をもとに、積立制度の概要、積立額、期間、払い戻しの条件などを解説しています。

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太陽光発電の廃棄費用積立制度とは

「太陽光発電設備の廃棄等費用積立制度」とは、太陽光発電設備を発電終了後適切に廃棄するため、処理費用を外部に積み立てる制度です。

元々、発電事業者は廃棄物処理法に基づき、太陽光発電設備を適切に廃棄する責任があります。

制度創設以来、調達価格等算定委員会では、廃棄費用を想定し算定価格を決めていましたが、実際に費用を積み立てている事業者は2割以下でした。

このままでは、発電終了後の使用済み太陽光パネルが不法投棄される懸念があることから、制度が導入されました。

対象となるのは、FIT制度を導入している10kW以上の太陽光発電設備で、毎月の売電収入から源泉徴収され、電力広域の運営推進機関が管理します。

廃棄費用積立制度の対象設備や開始時期について

10kW以上のFIT認定を受けた発電所が対象で、積立の時期はFITの売電期間が終了する10年前からFIT売電終了日までです。

外部積立は、毎月の売電収入から積立金額が天引きされ、電力広域の運営推進機関が積立金を管理し、ほとんどの事業者が対象となります。

50kW以上の高圧発電所事業者は、国の審査を経て、発電事業者自身が積み立てる内部積立をすることも可能です。

積立金額は認定FIT価格により違います。

廃棄費用の積立額

認定年度FIT調達価格解体等積立基準額
2012年度40円/kWh1.62円/kWh
2013年度36円/kWh1.40円/kWh
2014年度32円/kWh1.28円/kWh
2015年度29円/kWh1.25円/kWh
2016年度24円/kWh1.09円/kWh
2017年度21円/kWh0.99円/kWh
2018年度18円/kWh0.80円/kWh
2019年度14円/kWh0.66円/kWh
2020年度13円/kWh1.33円/kWh
2021年度12円/kWh1.33円/kWh
引用:太陽光発電設備の廃棄等費⽤積⽴制度について(資源エネルギー庁)

太陽光パネルの廃棄費用は、FIT調達価格ごとに売電電力量1kWhあたりの「解体等積立基準額」が定められ、「解体等積立基準額(円)」✕「売電電力量(kWh)」が積立金額となります。

廃棄費用積立制度が必要な3つの理由

廃棄費用積立制度が必要な理由3つ

廃棄費用積立制度が必要な理由を3つにまとめました。それぞれ解説します。

  • 太陽光パネルの不法投棄対策
  • 太陽光パネルの有害物質の処理
  • 積立状況の改善

①太陽光パネルの不法放棄対策

太陽光パネルの適切な廃棄には多額の費用がかかるため、一部の事業者が使用済みのパネルを不法投棄する事例が出ています。

太陽光発電は2012年にスタートしたFIT制度によって普及したことから、FIT制度の終了を迎える太陽光パネルの寿命を迎える2030年頃から大量に廃棄されることが予想されており、金銭面から太陽光パネルを適切に処理されず、不法投棄されることが懸念されています。

そのため処理費用を外部に積み立てておく必要があるのです。

②有害物質を適切に処理するため

太陽光パネルには、鉛、セレン、カドミウムなどが含まれており、これらの有害物質が適切に処理されず、不法投棄されると土壌や水質汚染の原因となります。

また、大量の廃棄物が生じることで廃棄処理の負担が増大し、環境への悪影響が懸念されています。

太陽光パネルの適切なリサイクルや処分が行われないと、長期的な環境リスクが増大するのです。

③積立進捗状況の改善


定期報告における積立進捗状況報告(2019年1月時点)(小数点以下四捨五入)
低圧(20kWh以上~50kWh未満)高圧/特別高圧(50kWh以上)
積立していない83%84%
積立中12%12%
積立完了4%4%
引用:太陽光発電設備の廃棄等費積制度について

FIT制度では、廃棄物処理法に基づく適正処理を促すため、制度創設以来、調達価格等算定委員会において廃棄物等の処理費用を想定したうえで調達価格を算定しています。

2018年4月に事業計画ガイドラインを改正し、廃棄費用の積み立てを遵守事項とし、進捗報告も義務化しました。

しかし、太陽光パネル等を廃棄するための資金を積立てる時期が事業者にゆだねられてきたため、2019年1月末時点の定期報告によると、実際に廃棄物処理費用を積み立てている事業者は全体の2割以下にとどまっていることが明らかになっています。

この状況では、廃棄をするときの資金調達が不透明なため、その対策として廃棄費用積立制度が作られました。

高圧の場合は条件次第で自身で積立することも可能

高圧発電所は、条件を満たせば発電事業者自身で積立を行う「内部積立」が可能です。

この内部積立を選択するには、以下の条件を満たしている必要があります。

  • 発電設備の出力が50kW以上であること
  • 事業計画に記載された事業者が実際の発電事業者であること
  • 定められた積立基準額よりも高い金額を積み立てて公表すること
  • 積立金額を定期的に公表すること
  • 金融機関や会計士による定期的なチェックを受けること

内部積立は50kW以上の高圧発電所のみが対象であり、積立金額は申請後に減額できません。

また、上記の条件を満たせない場合は、外部積立へ移行されます。

【調達期間中】廃棄費用の積立金が払い戻しになるケース

「FIT期間中に発電事業を終了する」または、「FIT期間中に発電事業を縮小する」場合、調達期間中に積立金の払い戻されるケースがあります。

解体等の実施に要する費⽤に充てる場合、それぞれ、取戻し条件取戻し可能額を解説します。

発電事業を終了する

調達期間中に発電事業を終了する場合は、基礎・架台を含めた発電設備の全体を解体・撤去した後、取戻し時点において電⼒広域的運営推進機関に積み⽴てられた解体等積⽴⾦の額を受け取ることが可能です。

発電事業を縮小する

調達期間中に発電事業を縮小する時には、廃棄される太陽光パネルが、認定された太陽光パネルの出⼒の15%以上かつ50kW以上である場合、以下の3つある条件の内で最も小さい額が払い戻し可能です。

  1. 想定される積立総額のうち、認定上の太陽光パネルの出⼒に対する廃棄する太陽光パネルの出⼒の割合に相当する額
  2. 取戻し時点で当該認定事業について電⼒広域的運営推進機関に積み⽴てられた解体等積⽴⾦の額
  3. 実際に廃棄等に要した費⽤の額

【調達期間の終了後】廃棄費用の積立金が払い戻しになるケース

調達期間の終了後に、太陽光設備の解体等の実施に要する費⽤に充てる場合、電⼒広域的運営推進機関に積立てた廃棄費用の積立金が払い戻しになるケースがあります。

発電事業を終了した時と、発電事業を縮小するか、一部の太陽光パネルを交換する場合です。

発電事業を終了する

調達終了後に発電事業を終了する場合は、基礎・架台を含めた発電設備の全体を解体・撤去すれば、取戻し時点において電⼒広域的運営推進機関に積み⽴てられた解体等積⽴⾦の額を受け取ることが可能です。

発電事業を縮小する・一部の太陽光パネルを交換する

払い戻しの条件は、FIT制度の下で設置された当初の太陽光パネルの⼀部が廃棄⼜は交換された場合です。

以下の3つの中でもっとも小さい金額が払い戻されます。

  1. 10年間で積み⽴てられた解体等積⽴⾦の総額のうち、認定上の太陽光パネルの出⼒に対する廃棄する太陽光パネルの出⼒の割合に相当する額
  2. 取戻し時点で当該認定事業について電⼒広域的運営推進機関に積み⽴てられた解体等積⽴⾦の額
  3.  実際に廃棄等に要した費⽤の額

廃棄される太陽光パネルが、認定上の太陽光パネルの出⼒の15%以上かつ50kW以上である場合に限るので、注意が必要となります。

すべての太陽光パネルを交換する

FIT終了後、設置当初の太陽光パネルを全て交換する場合は、太陽光パネルを交換した時点において、電⼒広域的運営推進機関に積み⽴てられた解体等積⽴⾦の額の全てが払い戻されます。

【その他】廃棄費用の積立金が払い戻しになるケース

解体等積⽴⾦を積み⽴てておく必要がない場合として経産省令で定める場合は、電⼒広域的運営推進機関に積立てられた廃棄費用の積立金が払い戻しになります。

事業廃止や認定取消で解体の完了確認を受ける

FIT期間に関係なく、発電事業が継続できなくなった等で事業廃⽌や認定取消により、すでに解体等完了し確認を受けた場合は、電⼒広域的運営推進機関に積み⽴てられた解体等積⽴⾦の全額が払い戻されます。

内部積立金を積み立てている

内部積⽴⾦を積み⽴てており、必要となる解体等積⽴⾦が存する場合は、電⼒広域的運営推進機関に積み⽴てられた解体等積⽴⾦の額 が払い戻されます。

解体等積⽴⾦を積み⽴てておく必要がない場合として経産省令が定める「内部積立を認める場合の条件」に該当している場合に限られます。

積立金の払い戻しに必要な書類

積立金の払い戻しを行う場合には、複数の書類を作成し、電⼒広域的運営推進機関に提出する必要があります。

必要な書類は以下の通りです。

  • 申請書
  • 印鑑証明書
  • 認定事業者が申し込む場合は、認定事業者であることを証明する書面 
  • 承継人が申し込む場合は、認定事業を承継したことが証明できる書面

また、積立金の払い戻しの申し込みは、解体前と解体後で必要な書類が違うので注意が必要です。

<解体前に必要な書類>

解体をおこなうことが証明でき、その費用がわかる書類が必要です。

解体・撤去業者との契約書の写しなどがあげられます。

<解体後に必要な書類>

解体したことが証明でき、その費用がわかる書類が必要となります。

解体・撤去業者との契約書の写しや、産業廃棄物管理表、現場の写真、領収書などです。

太陽光発電のリサイクルや売却について

太陽光パネルは有害物質を含むとして不法投棄に神経をとがらせていますが、大部分がガラスやアルミなどの素材からできており、リサイクルが可能な貴重な資源です。

また、近年は太陽光パネルや太陽光発電所をリユースする動きも加速しています。

太陽光は中古市場が活況なこともあり、メンテナンスが行き届いた中古のパネルや物件なら、高価で売却できる可能性が高いです。

高価買取を実現するために、日頃から以下のようなメンテナンスを心がけることが重要です。

  • パネルの目視点検
  • ホットスポットの点検
  • アルミフレームなどの機器の劣化点検

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まとめ:2022年7月より廃棄等費用積立制度は義務化になる

太陽光発電設備の廃棄等費用積立制度は、発電終了後の適切な廃棄を目的として、処理費用を外部に積み立てる制度です。

FIT制度を導入している10kW以上の太陽光発電設備が対象です。

売電期間の10年目から廃棄物の積立が義務となっており、積立金額は認定FIT価格により違います。

積立金の払い戻しには、様々な書類が必要で、解体前後でも必要書類が異なるので注意が必要です。

廃棄等費用積立制度や出力制御の影響で売電収入が減少する事例が発生しています。

そのため、太陽光発電の売却を検討する事業者も増えています。

グッド・エナジーは、太陽光発電の買取や販売、メンテナンスまで一貫して行う企業です。

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