太陽光発電投資は地震に弱い?知っておくべきリスクと対策を解説

日本は世界有数の地震大国であり、太陽光発電投資も地震による被害リスクを避けることはできません。強い揺れで架台の倒壊やパネル破損が起これば、発電停止や修繕費用の増加、資産価値の低下など事業収益に大きな影響を与えます。
本記事では、太陽光発電と地震リスクの関係や実際の被害事例、損失を最小限に抑えるための予防策や保険活用の方法まで、事業者が知っておくべきポイントを解説します。
太陽光発電と地震リスクの関係
太陽光発電所は屋外に設置されるため、地震の強い揺れにより架台の倒壊やパネルの破損が起こる可能性があります。設備が破損すれば発電停止や修繕費の発生に直結し、その間の売電収入が減少するだけでなく、資産価値や将来の売却価格にも影響を及ぼします。
特に注意しなければならないのは、破損による感電や漏電など人命にかかわるリスクです。投資を安定的に続けるためには、こうした地震リスクを正しく理解し、事前に備えることが欠かせません。
地震による太陽光発電所の被害事例
令和6年能登半島地震では、穴水町で斜面に設置された太陽光パネルが地盤ごと崩落する事例が報告されました。また、珠洲市ではスーパーの建物が倒壊しましたが、屋上の太陽光パネルの破損がなかったため、かえって漏電や感電のリスクが高まりました。
こうした被害は発電停止や収益損失に直結するだけでなく、飛散や感電など二次的な災害を招く危険もあります。過去、東日本大震災、熊本地震、北海道胆振東部地震でも、太陽光発電に被害が出ています。事業者は設置環境の安全性を重視することが大切です。
地震がもたらす太陽光発電投資への影響
地震による被害により、太陽光発電所の稼働が止まる場合があります。被害を受けた太陽光発電所の、修繕や交換にかかるコストが増加するだけでなく、地震被害は資産価値を低下させ売電収入の減少を招きます。
また、保険料の上昇や加入条件の厳格化が進んでおり、事業収支を圧迫する要因となるでしょう。
発電停止による売電収入の損失
地震でパワーコンディショナが破損すると、復旧費用は数十万円から数百万円に及ぶことがあります。設備が停止すれば、その期間の売電収入はゼロになります。
例えば、1年間に10万kWの発電量で売電価格が16円の場合、1日あたり4000円以上の収益が消える計算となり、投資計画に大きな影響を及ぼすでしょう。
また、保険に未加入であれば修繕費用をすべて自己負担することになり、トラブル時のリスクは極めて大きくなります。災害に備えて適切な保険加入を検討しておくことが重要です。
修繕・交換にかかるコスト増加
地震によって太陽光発電設備に不具合が生じた場合、大きな費用がかかります。パワーコンディショナーを例にあげると、故障原因の特定には調査費用として約3万円が必要となり、加えてメーカー技術者の出張・交通費が都度発生します。
修理には10万円〜35万円程度かかり、基盤交換やユニット交換などで差が出ます。1台のパワーコンディショナーの修繕だけでも高額なため、地震被害によるコストの増加は軽視できません。
資産価値の低下と売却価格への影響
太陽光パネルは一定の地震や強風には耐えられるよう設計されていますが、津波による浸水は避けられません。また、地盤が崩れると、架台や配線が破損する可能性が極めて高いです。
さらに、ハザードマップで津波の浸水域や土砂災害などの危険エリアに物件がある場合は、買い手からの評価が低くなり、物件の売却価格の下落を招く可能性があります。つまり地震による物理的な被害だけでなく、立地条件そのものが資産価値を左右するリスク要因となるのです。
保険料の上昇と加入条件の厳格化
自然災害の増加やケーブル盗難の多発によって保険金の支払いが相次ぎ、保険会社の経営を圧迫しています。その影響で太陽光発電所向けの保険料は各社で値上げが進み、事業者の負担は確実に大きくなりました。
また、過去に事故歴がある発電所では、保険の引き受けを断られる場合もあり、「保険に入りにくい」という状況が広がっています。太陽光発電の事業者は、こうした現実を踏まえ、保険加入やリスク対策を検討することが不可欠です。
地震による被害を抑えるための予防策

太陽光発電所は地震の揺れで架台やパネルが損傷する可能性があります。損失を最小限に抑えるためには、設置環境の安全性を確認するとともに、耐震補強や定期点検を実施し、さらに緊急時の対応マニュアルの作成や、連絡体制を整えておくことが欠かせません。
設置場所の再評価とハザードマップの確認
太陽光発電所は設置環境によって地震被害の程度が大きく変わります。地震多発地域では揺れや地盤沈下による被害が拡大しやすい傾向があります。
自治体が公表するハザードマップを活用し、リスクを再確認することが重要です。浸水や土砂災害の危険区域に該当する場合は、保険料の上昇や売却時の査定額の低下といった経済的影響も避けられません。
設置場所が浸水区域内だった場合は、パワーコンディショナーなどの機器を敷地内で想定される浸水深より高い位置に移設するなど、浸水リスクを回避することが大切です。
耐震補強の実施
太陽光発電所は大規模な地震で架台や配線が損傷する可能性があるため、耐震補強工事を行うことで被害を軽減し、将来的な修繕費用を抑える効果が期待できます。
新設時だけでなく、既存のシステムに対してパネルの固定方法を見直す、耐震性の高い架台にするなど、耐震補強を行なうことも有効な手段です。
産業用太陽光発電所の耐震補強工事として有効なのは、基礎補強工法や外部補強工法とされています。また、地震保険へ加入しておけば、不測の事態に備えて経済的リスクの軽減につながるでしょう。
定期的なメンテナンスの実施
2017年4月1日以降に固定価格買取制度(FIT)認定を受けた太陽光発電設備は、法律により保守点検と維持管理を計画的に行う義務があります。
定期的なメンテナンスを怠ると発電効率が落ちるだけでなく、パネルの故障や破損に早期に気づけず、修繕が遅れて被害が拡大する恐れがあります。また、管理不足で周囲に損害を与えた場合は事業者責任を問われることもあります。
劣化が進むことで地震被害が大きくなるリスクもあるため、定期点検は収益性と安全性を守る基本対策といえるでしょう。
緊急時対応マニュアルと連絡体制の整備
地震などで太陽光発電設備に損傷が見られる場合、絶対にそのまま通電せず、手を触れないことが基本です。感電や火災の危険があるため、速やかに販売店や施工店へ連絡し、点検を依頼する必要があります。
地上設置型の太陽光発電設備の損傷等が確認できた場合でも同様で、発電設備の表示板に記載されている事業者や施工業者へ連絡し、正しい対応をとることが被害拡大を防ぐ最善策となります。事業者はこうした緊急時のマニュアルを整備し、連絡体制を平時から確認しておくことが重要です。
太陽光発電における保険の活用方法
太陽光発電は地震や台風など災害リスクが高く、修繕費や収益減少につながる恐れがあります。そのため火災保険や動産総合保険に加え、地震保険や休業損害補償を組み合わせて活用することで、万一の際も事業の安定性を確保できます。
地震保険でカバーできる範囲と仕組み
太陽光発電設備が加入できる地震保険は、基本的に住宅用の地震保険と同じ仕組みで、地震保険は単体で加入できず火災保険に付随する形になります。対象となるのは、地震・噴火、またはそれらに伴う津波を原因とする火災、損壊、埋没や流失などの被害です。
保険金額は火災保険の30%から50%の範囲で保険金額を設定することが多く、保険だけで修繕費用は賄えません。しかし、地震リスクの高い日本において、地震保険は修繕費用や事業継続への影響を軽減する有効な対策と言えるでしょう。
火災保険・動産総合保険の見直しタイミング
太陽光発電所にかける火災保険や動産総合保険は、満期を迎えた際に「契約更新」するか、別の保険に「契約の乗り換え」をするかの判断をしなければなりません。契約を乗り換える最大のメリットは、補償内容を見直すことで保険料が下がる可能性がある点でしょう。
保険料は改定が行われるので、タイミングを見て、早期に乗り換えや継続の判断をすることが賢明です。また、保険会社により保険料が違い大きな差が出ることも考えられるので更新の際には必ず見直すことが重要です。
補償内容と保険料のバランスの考え方
太陽光発電向け保険では、火災保険料が約2倍、休業損害補償保険料は約6倍と大幅に上昇しており、事業者の負担は重くなっています。保険料の増加は事業収支に与える影響も大きく無視できません。投資計画を圧迫する要因となるため、「どこまで補償を厚くするか」を慎重に検討する必要があります。
リスクを十分にカバーしつつも、無理のない範囲で保険料と補償内容のバランスを設計することが、安定した事業運営につながります。
実際に地震で被害が出た場合の対応策
地震で太陽光発電設備に損傷が確認された場合、絶対にそのまま通電せず、また自ら手を触れないことが重要です。速やかに販売店や施工業者へ連絡し、専門家の対応を待つ必要があります。
また、水害で機器が水没・浸水しているときも同様で、感電する恐れが非常に高いため、決して近づいてはいけません。災害時には自己判断での操作をせず、必ず設置業者やメーカーに連絡して安全確認を行うことが、被害の拡大を防ぐ最も確実な方法です。
太陽光発電投資と地震に関するよくある質問
太陽光発電投資において地震リスクは避けられない課題です。「地震保険だけで十分か」「大地震後でも売却は可能か」といった疑問は多く寄せられます。ここでは投資家が特に気になるポイントを整理し、リスク対応の参考になる回答を解説します。
地震が起きたらどのようなリスクがある?
地震発生時には太陽光発電所に多様なリスクが想定されます。震源地に近い地域では、強い揺れによって設備が破損し、発電が止まり売電収入の減少につながるでしょう。
また、損傷した設備から漏電や火災が発生する危険もあり、周囲へ被害を及ぼした場合には管理責任を問われ、損害賠償を負う事態に発展しかねません。
復旧が長期化すれば初期投資の回収が遅れ、事業計画そのものに深刻な影響を及ぼすリスクがあります。
災害に備えて入った方がいい保険は?
太陽光発電投資では、地震保険に加入しておくことが重要です。ただし地震保険は火災保険とセットで契約するのが原則で、単独加入は認められていません。
火災保険だけでは地震による損害は補償されないため、地震の多い日本では両方を組み合わせて備えることが不可欠です。設備や収益を守るためにも、保険内容を確認しておきましょう。
設備が壊れている場合は売却できる?
故障や破損のある太陽光発電所も売却自体は可能ですが、査定額は相場より低く評価されるのが一般的です。
売却を検討する際は、まずメンテナンスを依頼して設備状況を確認し、故障箇所がある場合は修理を行ってから手続きを進めるのが望ましいでしょう。状態を整えておくことで、売却価格を少しでも引き上げられ、買い手にとっても安心材料となります。
太陽光発電投資の出口戦略
太陽光発電は長期運用を前提としていますが、地震リスクや保険料の高騰などにより、想定どおりの収益を得られない場合があります。そのため売却や撤去といった「出口戦略」を早めに検討しておくことが資産を守るうえで重要です。
太陽光発電は売却であれば廃棄と異なり利益を得られます。例えば固定価格買取制度(FIT)終了前に出力50kWの発電所を売却すれば、廃棄した場合の費用が約100万円かかるのに対し、1,000万円以上の売却益を得られる可能性があります。
まとめ:地震による太陽光発電投資への影響を解説
本記事では、太陽光発電投資における地震リスクと被害事例、収益や資産価値への影響、さらに予防策や保険活用の重要性について解説しました。日本は世界有数の地震大国であり、太陽光発電所も地震リスクは避けられません。
太陽光発電設備の耐震補強や定期的なメンテナンス、適切な保険加入は事業を安定的に継続するための不可欠な備えです。しかし、太陽光発電投資の将来の不安を感じる場合には、発電所の売却といった出口戦略を検討することも選択肢となります。
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