電気事業法は2023年3月に改正!太陽光発電への影響をわかりやすく解説

電気事業法は、電気の安定供給と公共の安全を確保するための法律です。2023年3月の改正により、特に低圧太陽光発電設備に対する規制が強化されました。
本記事では、この改正の具体的な変更点、違反した場合の処置、太陽光発電事業者への影響について詳しく解説します。
電気事業法の改正点を理解し、適切な対応を行うための情報ですので、ぜひ最後までお読みください。
目次
電気事業法とは
電気事業法は、電気事業の運営を適正化・合理化し、電気利用者の利益保護や電気事業の健全な発展を目指す法律です。また、電気工作物の工事や運用に関する規制を通じて、公共の安全と環境保全を図ることも目的としています。
対象となる電気工作物は、発電所(火力・水力・燃料電池・太陽電池・風力)、蓄電所、変電所、送電線路、配電線路、需要設備です。
具体的には、大手電力会社、小売電力事業者、発電事業者、送配電事業者など、電気事業に関わる企業や個人です。
電気事業に関する主な規制
電気事業法では、事業の種類に応じて登録制、許可制、届出制の3種類の規制が設けられています。事業の種類と規制は以下の通りです。
規制の種類 | 対象となる事業 |
---|---|
登録制 | 小売電気事業 |
許可制 | 一般送配電事業、送電事業、配電事業、特定供給 |
届出制 | 特定送配電事業、発電事業、特定卸供給事業、特定自家用電気工作物の設置、小規模事業用電気工作物の設置 |
各規制の概要と業務規制は以下の通りです。
規制の種類 | 事業の概要 | 業務規制 |
---|---|---|
登録制 | 資源エネルギー庁による審査が行われ、要件を満たせば登録を受けられる | 小売電気事業 |
許可制 | 資源エネルギー庁による審査が行われ、裁量的な判断が含まれる | 一般送配電事業送電事業配電事業特定供給 |
届出制 | 審査は行われず、書類提出のみで事業を開始できる | 特定送配電事業発電事業特定卸供給事業特定自家用電気工作物の設置小規模事業用電気工作物の設置 |
各規制の特徴として、登録制は要件を満たせば認められ、許可制は審査機関の裁量が大きく、届出制は審査なしで事業開始が可能です。
これらの規制は、事業の種類や規模に応じて適用され、電気事業の適正な運営と安全性の確保を目的としています。
電気工作物の種類
電気工作物は、発電、蓄電、変電、送電、配電、電気の消費に関わる設備を総称する用語です。主に上記6つの使用を目的として設置されます。
例えば、機械、器具、ダム、水路、貯水池、電線路などが含まれます。電気工作物は主に2つのカテゴリーに分類されます
- 一般用電気工作物:主に住宅や小規模な商業施設で使用される低圧(600V以下)の電気設備
- 事業用電気工作物:一般用以外のすべての電気工作物
- 「自家用電気工作物」:工場、ビル等の発電所などで高圧以上で受電
- 「電気事業用電気工作物」:発電事業で、法で決められた条件を満たさない発電設備を使っている場合(200万KW超、沖縄10万KW超)
なお、自家用電気工作物は、事業用電気工作物の規制が適用されるので、太陽光発電事業以外も規制の対象となるので要注意です。
電気工作物に関する規制
電気工作物に関する規制の目的は、安全性確保と適切な運用です。一般用電気工作物には技術基準適合命令や調査義務が課されます。
一方、事業用電気工作物にはより厳格な規制が適用されます。
具体的には、技術基準への適合が求められるほか、保安規程の整備や主任技術者の選任が必要です。
また、重要な工事を行う際には工事計画の届出や検査が義務付けられ、安全性と信頼性を確保する仕組みとなっています。
過去に3回改正が行われている
電気事業法は過去に複数回の改正が行われていますが、特に重要な3回の改正は以下の通りです。
- 2013年改正:広域系統運用の拡大を目的とし、電力広域的運営推進機関が設置されました。
- 2015年改正:送配電部門の法的分離と小売電気料金の規制撤廃が行われました。
- 2020年改正:災害に対する強化(送配電網の強靭化、分散型電力システム)
これらの改正は、東日本大震災後の電力システム改革の一環として実施されました。主な目的は、電力の安定供給確保、電気料金の抑制、需要家の選択肢拡大です。
太陽光発電と電気事業法の関係性
電気事業法において、50kW以上の太陽光発電設備には3つの義務があります。
- 経済産業省令で定める技術基準に適合するように電気工作物を維持する義務。
- 電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、保安規程を定め、届け出る義務。
- 電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるために、電気主任技術者を選任し、届け出る義務。
- 2000kW以上 設置工事の30日前までに工事計画届出書を届け出る義務
- 10kW以上2000kW未満 使用開始前に技術基準に適合することを確認し、結果を届け出る義務
これらの義務は、発電出力の規模によって適用範囲が異なります。
2023年3月の改正内容
2023年3月の電気事業法改正における主な変更点は4つあります。それぞれ詳しく解説します。
- 小規模事業用電気工作物への名称変更
- 基準技術適合維持義務の適用範囲拡大
- 設備情報(基礎情報)に関する届出義務
- 使用開始前の自己確認の義務
小規模事業用電気工作物に名称が変更
2023年3月の電気事業法改正により、10kW以上50kW未満の低圧太陽光発電設備は「小規模事業用電気工作物」と名称変更がありました。以下の3つの新たな義務が課せられました。
新たな義務 | 内容 |
---|---|
技術基準適合維持義務 | 経済産業省令で定める技術基準に適合するように、設備の維持管理を行う義務。 |
設置情報(基礎情報)の届出 | 設備の設置場所や種類、規模などの情報を、管轄の産業保安監督部に届け出る義務。 |
使用前自己確認 | 設備の運転開始前に、技術基準に適合しているか自己確認を行い、その結果を届け出る義務。 |
技術基準適合維持義務の対象が拡大
2023年3月の電気事業法改正で、10kW以上50kW未満の太陽光発電設備の位置づけが大きく変わりました。
これらの設備は「小規模事業用電気工作物」という新しい区分に分類され、より厳格な管理が求められるようになりました。主な変更点は以下の通りです。
変更点 | 内容 |
---|---|
技術基準適合維持義務の強化 | 従来の設置時のみから、運用期間中も継続的に技術基準を満たす必要がある。 |
基礎情報届出制度の導入 | 設備に関する詳細情報を国に報告する義務。 |
設備情報(基礎情報)の届出が必要になる
2023年の電気事業法改正により、小規模事業用電気工作物(10kW以上50kW未満の太陽光発電設備)の設置者は、基礎情報を産業保安監督部へ届け出ることが義務付けられました。
産業保安監督部は、経済産業省の地方機関で、電力設備などの保安確保を担当しています。届出内容には、設置者の氏名・連絡先、設備の名称・場所・種類・出力、保安体制などが含まれます。
届出事項 | 設置者 | 設備 | 保安体制 |
住所氏名又は名称及び代表者の氏名電話番号、メールアドレスその他の連絡先 | 小規模事業用電気工作物の名称小規模事業用電気工作物の設置の場所小規模事業用電気工作物の種類小規模事業用電気工作物の出力 | 保安体制保安監督業務担当者の氏名又は名称(※) 保安体制保安監督業務担当者の住所(※) 保安体制保安監督業務担当者の電話番号(※) 保安体制保安監督業務担当者のメールアドレス(※) 点検の頻度 |
使用前自己確認が必要になる
2023年3月の電気事業法改正により、「小規模事業用電気工作物」に区分された10kW以上50kW未満の太陽光発電設備と、「新設する一部の事業用電気工作物」の500kW~2,000kW未満の太陽電池発電設備に対して、運転開始前の「使用前自己確認」が義務付けられました。
使用前自己確認とは、設備の設置者が運転開始前に技術基準に適合しているか、自ら確認する作業です。
法改正前との違いは、改正前はこの規模の設備に対する使用前の確認は義務付けられていませんでしたが、改正後は自己確認の結果を国に報告する義務が課せられました。
電気事業法に違反した場合の処置
電気事業法に違反した場合の措置は、登録や許可が取り消されることや、場合によっては刑事罰を受ける場合があります。登録や許可が取り消されたり、場合によっては刑事罰を受けることになったりします。
大きな投資をして太陽光発電事業を始めても、許可が取り消しになっては元も子もありません。以下、解説します。
登録が取り消しになる
電気事業法に基づく事業者の登録や許可は、電気事業法の違反行為があった場合に取り消される可能性があります。これは公共の利益保護を目的としています。
取り消し対象となる主な項目は、以下のとおりです。
- 小売電気事業者(登録制)
- 一般送配電事業者(許可制)
- 送電事業者(許可制)
- 配電事業者(許可制)
- 特定供給事業者(許可制)
登録や許可の取り消しは、事業継続に致命的な影響を与えるため、法令遵守と適切な事業運営が不可欠です。
刑事罰を受ける
電気事業法違反は、場合によって刑事罰の対象となります。以下に具体例を挙げます。
違反内容 | 刑事罰の例 |
---|---|
無許可営業 | 一般送配電事業や送電事業を許可なしで行った場合、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金(併科可能)」が課される。 |
無登録営業 | 小売電気事業を登録せずに営んだ場合、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金(併科可能)」が科される。 |
届出義務違反 | 特定自家用電気工作物の設置届出を怠った場合、「10万円以下の過料」が課される。 |
太陽光発電事業者への影響
2023年3月の電気事業法改正により、10kW以上50kW未満の低圧太陽光発電設備に新たな義務が課されました。主な影響は以下の通りです。
新たな義務 | 内容 |
---|---|
技術基準適合維持義務 | 設備を技術基準に適合した状態で維持する必要がある。 |
基礎情報届出義務 | 設備や設置者の情報、保安体制を経済産業省に届け出る必要がある。 |
使用前自己確認義務 | 運転開始前に技術基準適合性を確認し、結果を届け出る必要がある。 |
これらの義務により、届け出の提出など維持管理の手間と責任が増加しました。運用が困難な場合、太陽光発電所の売却も選択肢の一つとなります。
まとめ:電気事業法の概要と改正点をわかりやすく解説
本記事では、2023年の電気事業法改正による太陽光発電への影響を解説しました。
主な変更点は、10kW以上50kW未満の太陽光発電設備が「小規模事業用電気工作物」に分類され、新たな義務が課されたことです。
技術基準適合維持義務、基礎情報の届出、使用前自己確認などが含まれています。これらの変更により、太陽光発電所の運用がより厳格になりました。
運用が困難な場合、太陽光発電所の売却も選択肢の一つです。
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