固定価格買取制度(FIT)とは?期間や価格推移をわかりやすく解説 | 太陽光 | 再生可能エネルギー | 株式会社グッド・エナジー

固定価格買取制度(FIT)とは?期間や価格推移をわかりやすく解説

固定価格買取制度(FIT)とは?期間や価格推移をわかりやすく解説

固定価格買取制度(FIT)とは、再生可能エネルギーで発電した電力を、国が定めた価格で一定期間電力会社が買い取る制度です。

本記事では、FITの仕組みや適用期間、買取価格の推移、卒FIT後の対応、FIP制度との違い、さらに今後の国の動向についても詳しく解説します。固定価格買取制度(FIT)は、太陽光発電の中心的な制度です。

太陽光発電に興味をお持ちの方は、ぜひ最後までお読みいただき、固定価格買取制度についての理解を深めてください。

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FIT制度とは

FIT制度の流れ

固定価格買取制度(FIT)は、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」を指します。再生可能エネルギーで発電した電気を一定期間、国が定めた価格で電力会社が買い取ることを義務付ける制度です。

FITは「Feed-in Tariff」の略称で、2012年に経済産業省によって導入されました。以下、「FIT制度の対象」「FIT制度の期間」「FIT制度認定までの流れ」について解説します。

FIT制度の対象

固定価格買取制度(FIT)の対象となるのは、国の認定を受けた発電設備です。対象となっているのは、太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス発電の5種類です。

FIT制度では、発電設備の容量に応じて、余剰売電と全量売電の2つの方式が設けられています。余剰売電は、自家消費した後の残りの電力を売る方式で、10kW未満の住宅用と10kW以上50kW未満の産業用の太陽光発電に適用されます。

一方、全量売電は、発電した電力をすべて売却する方式で、設備容量が50kW以上の大規模な太陽光発電が対象です。

FIT制度の期間

FIT制度の買取期間

固定価格買取制度(FIT)の適用期間は、発電設備の容量によって異なります。家庭用太陽光発電の場合、買取期間は10年間です。

このため、余剰電力買取制度を利用している方々は、順次この10年の期間が満了していくことになります。一方、産業用太陽光発電では、20年間の買取が設定されています。

この20年間のFIT制度は2012年に導入されたため、2032年まで終了する発電所はありません

FIT制度認定までの流れ

固定価格買取制度(FIT)を活用するためには、様々な手続きを経て事業計画認定を受けなければなりません。まず、発電設備の設置に関する計画を策定し必要な書類を準備します。

次に、電力会社に系統連携申請を行った後、売電に係る契約を結び、その後、経済産業省に申請を行い審査を受けます。

認定が必要な理由は、再エネの導入促進・普及のために、事業実施が継続してできるかを判断するためです。主な認定フローは、以下の通りです。

  1. 電力会社に系統連携申請・売電に係る契約
  2. 経済産業省へ事業計画認定の申請
  3. 審査結果の通知後、認定証の交付
  4. 太陽光発電所の設置工事
  5. 完成後、経済産業省へ基礎情報および使用前自己確認届出を提出

FIT制度の価格推移

固定価格買取制度(FIT)は毎年見直され、価格の推移は年々減少しています。2012年度には太陽光発電の買取価格が40円/kWhからスタートし、2023年度には10円/kWhまで下がりました。

2023年度以降は下落幅が緩やかになりつつありますが、依然として下落傾向にあります。以下、FIT価格の推移表です。

年度家庭用(10kW未満)産業用(10kW〜50kW未満)
2012年度42円(税込)40円(税抜)
2013年度38円(税込)36円(税抜)
2014年度37円(税込)32円(税抜)
2015年度33円(税込)29円(税抜)
2016年度31円(税込)24円(税抜)
2017年度28円(税込)21円(税抜)
2018年度26円(税込)18円(税抜)
2019年度24円(税込)14円(税抜)
2020年度21円(税込)13円(税抜)
2021年度19円(税込)12円(税抜)
2022年度17円(税込)11円(税抜)
2023年度16円(税込)10円(税抜)
2024年度16円(税込)地上設置10円(税抜)屋根設置12円(税抜)
2025年度15円(税込)地上設置10円(税抜)屋根設置11.5円(税抜)

2025年度の買取価格は?

年度入札制度適用区分50kW以上(地上設置)(入札制度対象外)10kW以上50kW未満50kW以上(屋根設置)10kW以上50kW未満(屋根設置)10kW未満
2025年度入札制度により決定8.9円10円11.5円11.5円15円
参考: 資源エネルギー庁FIT・FIP制度 買取価格・期間等

2025年度の太陽光発電における買取価格は、住宅用が前年度比1円のマイナスです。産業用の場合、前年度比0.2円〜0.3円のマイナスとなっています。前年と比較してわずかに減少していることが分かります。

FIT制度の今後の価格予測

今後のFIT制度における売電価格は引き続き下落が予想されています。2025年の買取価格目標は、事業用太陽光発電が7円、住宅用が卸電力市場価格水準でした。

しかし、実際の2025年のFIT価格は、事業用が8.9円〜11.5円、住宅用が15円と目標を上回る設定となりました。太陽光発電のコストが低下していることを考慮すると、2026年度以降の買取価格はさらに減少する可能性が高いです。

年度開始前の3月末までに発表される新しい買取価格を見極める必要があるでしょう。

卒FITとは

卒FITとは、固定価格買取制度(FIT)の適用期間が終了することを指します。FIT制度は2012年に始まった制度で、再生可能エネルギーの普及を促進するために設けられました。

それ以前の2009年より太陽光発電余剰電力買取制度が導入され、FIT制度に統合されています。卒FITを迎えると、発電者は新たな契約を結ぶ必要があり、市場価格に基づく売電が求められるため収益に影響を与える可能性があります。

家庭用の太陽光発電は2019年から卒FITの対象者が出始めましたが、産業用の卒FITは2032年以降です。

卒FITが抱える課題

卒FITが抱える課題として、2019年11月以降にFITが終了した個人や企業が増加傾向にある点が挙げられます。卒FITの件数は56万件を超え、再生可能エネルギーの普及を維持するためには、卒FIT後も継続的に運用していくことが重要です。

また、2030年に多くのFIT契約が満了し、発電設備の老朽化に伴う太陽光パネルの大量廃棄問題も懸念され、再生可能エネルギーの供給が不安定になることも予測されます。

卒FITの対処法

卒FITに対処する方法は複数あります。まず、自家消費を増やすことが重要です。発電した電力を自家消費することで、電力会社からの購入を減らしコストを削減できます。

蓄電池を導入すれば、昼間に発電した電気を貯めて夜間に使用するなど、効率的なエネルギー利用ができます。余剰電力を売電する選択肢もあり、新たな電力会社と契約することで収入を得ることが可能です。

また、設備を売却し現金化する手段もあります。売電収入があまり見込めない場合は、卒FIT後の選択肢として検討する価値があります。

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FIT制度のメリット

FIT制度は再生可能エネルギー普及促進のため導入されました。電気代の負担軽減につながる他、地球温暖化防止にも貢献するなどのメリットがあります。

一方、課題となっているのが再エネ賦課金の負担額です。以下、それぞれ解説します。

電気代の負担を軽減できる

電気代の負担を軽減できることは、FIT制度導入のメリットです。住宅用の場合、余剰電力を電力会社に売却することで、10年間は収入が保障されます。

蓄電池を併設すれば、昼間に発電した電力を夜間に使用するなど節電効果が期待できます。また、蓄電池の性能、設置状況によっては、電気代の削減と売電収入の両立も可能です。

FIT制度の終了後も、契約が自動で更新される場合は、新たな価格で買取が継続できます。自動継続がない場合は、新たに売電契約を結べば買取が可能です。

地球温暖化の防止に貢献する

FIT制度の取り組みにより、再生可能エネルギーの普及促進がなされ、地球温暖化の防止に大きく貢献しています。

具体的な成果として、日本の再生可能エネルギー電源比率の増加があげられます。FIT制度導入前の2011年度には10.4%だった比率が、2020年度には19.8%と10年間で2倍に普及し、2021年度には20.3%に達しました

経済産業省は2030年度までに36%〜38%という野心的目標を掲げており、目標達成に向けて太陽光など再生可能エネルギーの普及促進を政策に織り込んでいます。

参考:【総務省】2050年カーボンニュートラルに向けたコミットメント

FIT制度の課題は再エネ賦課金

FIT制度は、電気を使用するすべての国民で、今はまだコストの高い再生可能エネルギーの導入・普及を支えていく設計になっています。

再エネ賦課金として電気料金に上乗せされる形で、電気を使用する全ての国民が支払っています。

2023年度には賦課金単価が1.40円/kWhに大幅低下しましたが、2024年5月分から2025年4月分までの単価は3.49円/kWhと決定されました。

この引き上げによる負担額の増加は、家計や企業の電気代を押し上げることになり、経済的な課題となっています。

FIP制度とFIT制度の違い

FIT制度と似た制度としてFIP制度があります。FIP制度は「Feed-in Premium」の略で、2022年4月から導入された再生可能エネルギー普及促進のための新しい制度です。

FIT制度が固定価格での買取を保証するのに対し、FIP制度では発電事業者が卸電力市場で自由に売電し、市場価格に一定のプレミアムが上乗せされます。

現在、FIP制度は50kW以上の発電設備で導入可能で、事業者向けの制度といえます。FIP制度の詳細は、以下の記事で解説しているので、合わせてご覧ください。

2040年におけるエネルギー自給率の目標は4割程度

2040年度のエネルギー自給率目標は3割〜4割程度に設定されています。政府が示したエネルギー基本計画案によると、再生可能エネルギーの電源比率を4割〜5割に引き上げる方針です。

このうち、太陽光発電は22%〜29%程度を目指しています。風力発電は4%〜8%、水力は8%〜10%、地熱は1%〜2%、バイオマスは5%〜6%程度の目標が掲げられています。

あくまで暫定値のため、今後の技術革新や国際情勢の変化によって変動する可能性があります。エネルギー政策の動向を注視し続けることが重要です。

まとめ:固定価格買取制度(FIT)について解説

固定価格買取制度(FIT)は、再生可能エネルギーの普及促進を目的とした制度です。本記事では、FITの仕組みや期間、価格、卒FIT、FIP制度との違いについて解説しました。

現在、再エネ電源比率は20%を超え、国は2040年に40%程度の実現を目指しています。今後も太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの普及は加速すると予想されます。

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