太陽光発電に未来はない?現状の課題や将来性が高い5つの理由を解説
FIT制度の改定により売電価格が安くなってきていることから、太陽光発電には未来がないとの指摘がしばしば見受けられます。
しかし、これは本当に正しいのでしょうか?
この記事では、太陽光発電の課題となる「初期費用がかかる・天候に左右される・パネルの廃棄処理」などを踏まえた上で、国の再エネ政策や技術革新への期待など、将来性が高い理由を解説します。
太陽光発電の今後の展望について知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
太陽光発電をやめた方がいいと言われる理由
再生可能エネルギーの普及のため、FIT制度(固定価格買取制度)を設け、太陽光発電が推進されてきましたが、売電価格の低下などから期待していたほどの収入が得られなくなってきています。
また、売電するよりも自家消費にシフトしていることから、一部では導入に反対する声もあるでしょう。
それぞれの理由を解説します。
売電価格が下落傾向にある
太陽光発電の売電価格は、年々下落しています。
主な理由は、政府の太陽光発電普及政策としてのFIT制度の価格が削減されたことがあげられます。
売電価格の推移を見ると、2012年のFIT開始時には1kWhあたり40円でしたが、2020年には12円にまで引き下げられました。
2023年にはさらに低下し、10円前後となっています。
このため、以前のような収益性の確保が難しくなりつつあることで、太陽光発電への参入はやめた方がいいと言われています。
電気を売るから使う時代にシフトしている
近年、太陽光発電は、売電から自家消費にシフトしている傾向があります。
自家消費とは、太陽光設備で発電して得た電力を自社の工場や倉庫・店舗などで使います。
この背景にあるのは、2022年から始まったロシアのウクライナ侵攻です。
各国がロシアからの輸入を止めることで、エネルギー資源が世界中で足りなくなり価格が上がり続けていることから、日本の電気代にも大きな影響を与えているのです。
戦争の終息が見通せない現状では、電気料金が上昇を続けることが予想され、自家消費することで大きな経費削減に繋がります。
以下の記事では、FITの買取期間20年が過ぎた後の運用方法について解説しているので、こちらもあわせてご覧ください。
太陽光発電が抱える課題
太陽光発電は、以下のような課題を抱えています。
- 初期費用が高い
- 発電時間が限られる
- 廃棄物問題を抱えている
主な課題について、詳細を解説します。
初期費用がかかる
太陽光発電を導入するには、以下のように、複数の項目で初期費用がかかります。
- 太陽光パネルやパワーコンディショナなど機器に関する費用
- 土地の購入費用
- 基礎や架台の設置などの工事費用
大規模な太陽光発電設備を導入する場合には、その分費用も大きくなります。
2014年以降、導入費用に大きな改善はありません。
今後導入を進めるためには、設置するためのコストを削減する工夫が必要です。
しかし、発電効率は向上しており、機種によっては費用対効果が改善されています。
一概には言えませんが、産業用として50kWの場合で、約1,500〜2,000万円の初期費用がかかると言われているので、投資回収には10年程度かかるでしょう。
発電できる時間帯が限られている
太陽光発電は、太陽が出ている時間帯にしか発電できないため、夜間は発電ができません。
曇りや雨の日は十分な日射量がないため発電量が少なくなります。
降雪が多いと、太陽光パネルに日が届かないので発電できません。
また、気温が25度から1度上がるごとに変換効率は0.5%ほど低下するので、夏の高温時には太陽が出ているのに発電量が低下します。
例えば、30℃を超える日には、発電量が30%余りも低下するのです。
パネル廃棄の問題
太陽光発電は「2030年廃棄問題」を抱えています。
太陽光パネルは通常20年〜25年使用できますが、1990年代から導入が進んだため、2030年頃には多くのパネルが寿命を迎え、パネルが大量に廃棄されると予想されています。
大量廃棄で最終処分場がひっ迫することにより懸念されているのが、パネルの不法投棄です。
また、太陽光パネルは種類によっては鉛・セレン・カドミウムなどが含まれており、適切に処理しなければ有害物質が漏れ出てしまい環境汚染の心配があります。
そのため、国では廃棄等費用積立制度を設け、事業者に責任を持たせました。
今後は、リサイクルやリユースの技術の開発が求められています。
太陽光発電の将来性が高い5つの理由
未来はないとまで言われている太陽光発電ですが、実は、将来性がある事業です。
その理由を5つピックアップし、掘り下げていきます。
- 国が再エネを推進
- 電気料金の高騰
- 企業イメージの向上
- 技術進歩の期待
- セカンダリー市場に注目
①国が再エネを推進している
2020年10月26日、当時の菅義偉首相は、2050年までに日本は、温室効果ガス排出ゼロを掲げた「カーボン・ニュートラル」をめざすと表明しました。
パリ協定での地球温暖化2.0℃以内の目標が進まないことから、より挑戦的な目標を掲げたものです。
この達成に向け、国は太陽光発電を中心に再生可能エネルギーの普及を促進しています。
また、太陽光発電設備や蓄電池の導入には、国や自治体からの補助金を活用できる場合があります。これにより、初期費用の負担が軽減され、導入がしやすくなります。
このように、政策支援や補助金制度を活用することで、太陽光発電の導入が進み、持続可能なエネルギー利用が促進されています。
②電気料金の高騰問題を解決できる
太陽光発電の導入は、電気料金削減に役立ちます。
ロシアとウクライナの戦争により、世界的に原油や天然ガスの価格が急騰しました。
現在日本の発電は化石燃料に依存していることから、日本の電気料金も上昇を続けています。
電気料金には燃料費調整額が含まれており、燃料の調達コストが上がると電気料金も増加する仕組みです。
太陽光発電を導入すると、売電で電気料金の負担を軽減でき、自家消費することで燃料費調整額の負担も避けられます。
そのため、電気料金の大幅な削減が可能です。
現段階ではしばらく化石燃料を輸入する状況が続くため、太陽光発電の導入を検討することは、企業にとって効果的な対策です。
③企業イメージが向上する
脱炭素社会実現のため、企業には環境問題や社会問題に配慮した「ESG経営」が求められるようになりました。
企業が非FIT太陽光発電を導入することは、CO2削減に繋がり環境への負荷が軽減されます。
非FIT太陽光発電とは、固定価格買取制度(FIT)を利用せず、自社で発電した電力を自家消費する方式です。
この方式を使うことで脱炭素への取り組みが評価され、投資家や金融機関からの注目が高まり、企業価値や資金調達能力が向上し、企業イメージもさらに向上します。
④技術の進歩を期待できる
産業用太陽光発電が今後期待される理由の一つに、技術の進化があります。
太陽光発電の技術は日々進化しており、モジュール変換効率も向上しています。
2021年1月時点で市販されている製品では、モジュール変換効率が約20%です。
また、パワーコンディショナも進化しており、変換効率が96.5%程度に達しています。
今後も技術の進歩により、同じ面積のモジュールでより多くの電力を生産できるでしょう。
さらに、ペロブスカイトなどの新素材の研究開発が進み、寿命が短く耐久性が低い、大面積化が難しいなどの課題が解決できれば、低コスト化が期待できます。
⑤セカンダリー市場の注目が高まっている
FIT制度の自家消費要件の追加や固定買取価格の低下により、太陽光発電の投資家の間で、セカンダリー市場への関心が高まっています。
セカンダリー市場は、売電収入を重視する投資家にとって大きなメリットがあることから、中古の太陽光発電設備の売買が活発に行われています。
中古の太陽光発電設備のメリットは3つにまとめられます。
- 購入後すぐに発電を開始できるため、収益を早期に得ることが可能
- 新規設置に比べて初期費用を抑えることができ、高い固定買取価格での売電も期待できる
- 自家消費要件が適用される前に設置された設備であれば、その要件を回避できる
太陽光発電のセカンダリー市場は、今後も意欲的な売買が続くと予測できます。
以下の記事では、太陽光発電を売却するための手続きや、必要な書類を解説しているので、売却を検討している方はぜひご覧ください。
太陽光発電の今後はどうなる?
今後の太陽光発電はどのように活用していけばよいのでしょうか。
4つの活用方法が考えられます。
- 電力会社の変更
- リパワリングの実施
- 自家消費
- 太陽光発電の売却
それぞれ解説します。
電力会社を変更する
発電した電気を大手電力会社ではなく、電力市場の自由化に伴って設立された新電力に売ると、買取価格が上がり、売電収入を増やすことができます。
新電力は、通常よりも高い価格で電気を買い取ってくれることが多く、さらに自社サービスと組み合わせて利用すると、より高い価格で買い取ってくれるプランもあります。
そのため、FIT制度が終了した後でも、大手電力会社に売電するよりも、新電力に移行した方が高い売電収入を期待できるでしょう。
リパワリングを実施する
リパワリングとは、発電効率を上げて売電にかかるコストを抑えるために、劣化した機器を新しい機器に交換することです。
何年も毎日発電し続けると、経年劣化により発電量が減少してしまいます。
また、太陽光パネルの期待寿命は20年〜30年、パワーコンディショナーの期待寿命は10年〜15年です。特に、パワーコンディショナーは太陽光パネルより寿命が短いので、早めに対策をすることが重要です。
リパワリングを行うことにより、中古物件としての価値が高くなります。
自家消費に切り替える
FIT制度が終了後、売電価格は大幅に下がることになります。
買電価格は上昇していく可能性が高いので、自家消費へ切り替えた方が、費用対効果を高めることになります。
自家消費する電力を増やし、余剰分を売電に回すことで、将来のエネルギー価格変動に柔軟に対応できるでしょう。
太陽光発電を売電型から自家消費に切り替える場合は、逆潮流を防止するためのシステムや配線の工事などが必要になります。
太陽光発電設備を売却する
現在稼働している太陽光発電を売却し、利益を確定することも選択肢の一つです。
「過去の売電実績が分かる」「売電単価を引き継げる」など、投資家から中古太陽光発電の人気が高まっています。
セカンダリー市場は盛況で売り手市場なことから、設備の売却を検討する事業者が増えています。
現状の太陽光ビジネスをデータで解説
日本国内の太陽光発電はどのくらい導入されているのか現状を解説します。
また、売電価格と導入費用の推移もデータに基づき掘り下げていきます。
日本国内における太陽光発電の導入数
日本の太陽光発電は、「諸外国と比べると少ないのでは?」という漠然としたイメージがあります。
実は太陽光発電の導入容量実績では、日本はアメリカに次ぐ世界第3位で全世界導入量の約11%のシェアを占めています。
また、国土面積あたりの日本の太陽光導入容量は、主要国(日本、ドイツ、イギリス、フランス、中国、インド、米国)の中で最大の147kW/㎢と世界1位です。
平地面積でみると426kW/㎢で、184kW/㎢のドイツの2倍となっています。
出典:(資源エネルギー庁)国内外の再生可能エネルギーの現状と今年度の調達価格等算定委員会の論点案
売電単価の推移
2012年にFIT制度が導入されて以降、太陽光発電の売電単価は下がり続けています。
事業用太陽光発電の場合、導入時の2012年度には、10KW以上で40円でした。
2024年度では10KW以上50KW未満で10円、50KW以上で9.2円まで下落しています。
経済産業省は、設備の導入費用に合わせてFIT制度の売電単価を決めているので、パネルの製造技術が進歩し、生産量が増えて価格競争が激しくなるなど、太陽光発電の設備を導入するコストが年々減っているため、売電単価が下がったのです。
導入費用の推移
FIT制度が導入された2012年より、導入費用は年々安くなっています。
2012年当時は10KW〜50KWの場合で約42万円、2020年では約26万円です。
2025年度の導入費用は、50kW以上の場合は1kWあたり約11.3万円、10kW〜50kWの場合は約17.8万円と予測されています。
導入費用が低下している背景には、技術の進歩により設備や太陽光パネルが低価格で量産が可能になったことがあります。
太陽光発電の規模が小さい方が費用が掛かりませんが、1KWあたりの価格は割高になってしまいます。
【まとめ】太陽光発電の未来は明るい
太陽光発電は売電価格の低下や初期費用の高さ、天候依存、パネル廃棄問題などから、収益が減少し、一部では導入に反対する声もあるかと思われます。
しかし、太陽光発電は、政府の再生可能エネルギーの推進や技術進歩、自家消費へのシフト、セカンダリー市場の拡大で将来性があります。
今後は、自家消費への切り替え、太陽光発電設備の売却やセカンダリー市場の活用などがおすすめです。
グッド・エナジーは、中古の太陽光発電の買取、販売、メンテナンスまで一貫して行う専門会社です。
これまでに累計300件以上の買取実績を持ち、3カ月の買取保証も付けて買取を行っているので、安心してご利用いただけます。
太陽光発電に関して疑問やお悩みがありましたら、ぜひお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
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