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ソーラーパネルの火災問題の原因は?消火方法や火災を防ぐ方法を解説

ソーラーパネルの火災問題の原因は?消火方法や火災を防ぐ方法を解説

太陽光発電所のメンテナンスを怠ると、ソーラーパネルが火災に遭う危険性が伴います。本記事では、ソーラーパネルの火災に関して、主に以下の項目を解説をします。

  • ソーラーパネル火災の原因と背景
  • ソーラーパネル火災の消火方法
  • ソーラーパネル火災時の注意点

安全に太陽光発電を運用する方法を解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。

ソーラーパネルの火災件数

「住宅用太陽光発電システムから発生した火災等事故に係る事故等原因調査について」をもとに作成

消費者安全調査委員会によると、ソーラーパネルの火災件数は平成 20 年3月から平成 28 年8月までの間に 102 件と報告されています。以下は、消費者安全調査委員会の事故調査をまとめた一覧表です。

年度件数(件)年間件数(件数/8年間)
2008年~2016年10212件/年間

火災の主な原因は、ヒューマンエラーによって発生しており、以下の項目に関して注意する必要があります。

  • メンテナンス不足
  • 漏電
  • 施工不良
  • 製品不良
  • 防火対策不良

火災原因については、次章で深く解説を進めていきます。

出典:【消費者安全調査委員会】住宅用太陽光発電システムから発生した火災等事故に係る事故等原因調査について

ソーラーパネルの火災が発生する背景や原因

ソーラーパネルの火災が発生する原因を5つ解説します。

太陽光発電設備のメンテナンス不足

太陽光発電設備のメンテナンス不良は、火災に直結する可能性があります。ソーラーパネルは、発電中は表面温度が上がり、特に夏場では手袋がないと触れないほど高温になります。

以下の理由から、屋根設置型の太陽光発電所はメンテナンス不足になる可能性があります。

  • 昇降設備がなく点検できない
  • 屋根にメンテナンス通路スペースが無い
  • 屋根とパネルのすき間が無くメンテナンスが行えない

屋根設置型の太陽光発電所は、昇降設備がないと目視点検が困難です。屋根型の太陽光発電の事業者はは、「4年に1度」専門業者による点検を受けましょう。

急速に設置が進んだ太陽光発電設備

太陽光発電所の設置件数は、急速に拡大しています。以下に、2014年度以降の年間導入量(㎾)をまとめています。

年度(年)年間導入量(㎾)
20142,317
・・・・・・
20184,942
・・・・・・
20237,384
出典:太陽光発電の導入量(自然エネルギー財団)

2014年度と比較して、2023年度における年間導入量(㎾)は、約3倍増加していることが分かります。FIT制度が導入された2012年より設置件数は右肩上がりとなり、政府が掲げる「脱炭素社会」の実現に向け、今後も設置件数の増加が見込まれます。

落雷や地震などの自然災害

落雷や地震などの自然災害が原因で、火災が発生する場合があります。以下の自然災害は火災に繋がる可能性があり注意が必要です。

  • 地震
  • 台風
  • 落雷
  • 豪雨・洪水

以下に災害の種類と、火災が起こる主な原因をまとめています。

災害の種類火災が発生する原因
落雷・落雷による電力系統の過電圧
・電力保護設備の異常電圧による故障
・ケーブルの保護被覆損傷
地震・地震による機器損傷、倒壊
・揺れによる電力接続部のクリアランス発生(短絡等)

運営されている発電所を災害・火災から守るためには、電気的根拠に基づいた対策が必要で、専門業者に確認を行うことがポイントです。

ソーラーパネルなど製品の不具合

ソーラーパネルの製品不良による火災にも注意が必要です。特に「モジュールに耐熱性の鋼板」のないパネルは注意が必要になります。

以下に、一般社団法人建築性能基準推進協会の建築基準で定められた「耐熱性鋼板」をまとめました。

材質パネルの取付箇所
溶融亜鉛メッキ鋼板フレーム周辺
電気亜鉛メッキ鋼板フレーム周辺
建築構造用溶融亜鉛フレーム周辺
アルミニウム合金押出形材フレーム周辺
出典:不燃材料等に関する大臣認定仕様の基準化の検討

現在設置しているパネルの「機器納入仕様書」を一度確認し、パネルの不燃性に関しても合わせて確認しましょう。

ソーラーパネルの経年劣化

ソーラーパネルの経年劣化も火災のリスクが高まります。以下に、経年劣化によって引きおこる問題をピックアップしています。

  • セルの劣化による発電異常
  • パネル接続ケーブルの被覆劣化
  • 浸水によるケーブル短絡・ショート

上記の項目は、普段の目視メンテナンスだけでは気づきにくい、専門測定器などを用いて数値を計測を行う必要があり、素人には判断できない内容です。メンテナンスは専門家に依頼するようにしましょう。

ソーラーパネルは『水』で消化できる

ソーラーパネルは「水」で消火が可能です。過去、X(Twitter)にて「パネル火災は水では消せない」という情報が拡散されました。

東京消防庁からは、ソーラーパネルの火災について、「感電には注意が必要だが、水で消化可能」と回答が発表されています。

東京都では、「新築一戸建てにソーラーパネルの設置を義務化する」という検討情報もあり、特殊な消化設備が必要なのか?燃えたら止まらないのではないか?という不安が広まりました。

正しい判断をするためには、ネット上の情報を鵜呑みにせず、正確な情報を入手することが重要です。

SNSのデマ情報には注意する

事業者として、SNSのデマ情報には注意が必要です。X(Twitter)などで得られる情報は、情報の正確性に欠けることも多々あります。

そのため、SNSで得た情報を鵜呑みにすることは危険です。SNS上で確認した情報は、必ず一次情報(メーカー・公式HP・政府等)との整合性を確認しましょう。

ソーラーパネルの火災時/消火時の感電リスク

ソーラーパネル火災時には感電リスクがあります。具体的な内容について解説を進めます。

消火中に感電の事故が発生

ソーラーパネルの消火活動中に感電したケースが報告されています。感電する仕組みを以下のフローチャートにまとめました。

  1. パネルの火災発生
  2. 消化活動
  3. 鎮火確認
  4. パネルを外す又は、触る(※1)
  5. 感電する

※1以降で感電する危険性があります。

電気は、特性上「+から-」へと流れます。※1の時に、パネルを触った人が、プラスとマイナスの道(電気が流れる道)を意図せず作っています。この時のマイナスは「地面(GL面)」です。

ソーラーパネルは火災時でも発電しているため、意図的に停電するには追加の対策が必要となります。火災時は、感電の危険性が伴うので、知識がない状態での消火活動は避けるべきです。

ソーラーパネルを消化する際の安全対策

ソーラーパネルの消火を行う際の安全対策を解説します。

感電に関する安全対策

感電事故を防ぐため、消防庁では「感電の安全対策」を行っています。以下に、消防庁が安全対策のため装備を整えている装備をまとめました。

  • 絶縁用防護服
  • 絶縁用長靴
  • 絶縁用長靴
  • 保安帽
  • 高圧絶縁用手袋
  • 低圧絶縁用手袋

事業者として災害対応品の準備を行いましょう。

火災に関する安全対策

ソーラーパネルの火災時は、パネルの発電を止める事が重要です。以下に、発電を止める具体的な方法をまとめています。

対策方法効果
パネルを防炎・ビニールシートで覆う発電を止められる
周囲の可燃物を除去する火災拡大を防止できる

ソーラーパネルの火災時は、パネル表面を隠す(太陽光を遮る)ことで発電を止められます。

ただ、火災が発生している時にビニールシートは、燃える可能性があり火災を勢いづける可能性もあるので「防炎シート」が有効となります。上記を意識した上で消化活動を行う事がポイントです。

割れガラスに関する安全対策

火災時には、「温度差」によってガラスが割れる危険性があります。火災時における急な放水・冷却は、ガラスの飛散リスクが高まります。

以下に、飛散リスクを低減する具体的な対策をまとめています。

  • 温度差に強い材質のパネルの導入
  • 濡れた布などで初期消火を行う

パネルガラス面の温度差が大きいと、割れて飛散する危険性があることを知っておきましょう。

ソーラーパネルの火災を防ぐ方法

ソーラーパネルの火災を防ぐ方法について解説します。

定期的なメンテナンスを実施する

パネルの定期的なメンテナンスを行うことで、火災を未然に防ぐことが可能です。メンテナンスを怠ると、火災の火種になる可能性のある「落ち葉・枯れ葉」などが蓄積することになります。

メンテナンスを実施することで、不要なモノを排除することに繋がり、安全な発電所として運営を継続することが可能です。例えば、以下のようなメンテナンスが有効です。

メンテナンス項目効果
パネル接続部の欠損確認漏電火災リスクの低減
パネル表面・下部のゴミ撤去熱による火災リスクの低減

信頼性が高いメーカーのパネルを導入する

信頼性の高いメーカーのパネルを導入することは重要です。前項で解説を行った「モジュールに耐熱性の鋼板」は、不燃材質であり錆止め効果もあり特殊塗料施行が施されています。

事業者としては、火災対策のために導入するパネルの材質を確認することは重要です。例えば、以下の項目を確認するようにしましょう。

  • 使用されている材質(不燃材)
  • 過去の火災事故事例

落雷対策を実施する

落雷対策を行うことで、落雷時に地面(GL面)に、安全に電流を逃がすことが可能です。落雷対策を行わないと、落雷によって発電所内に侵入した異常電流の逃げ道が無く「機器破損・火災発生」と繋がるリスクが非常に高くなります。

以下に、落雷対策として、有効な方法をまとめました。

雷対策効果
SPD(避雷器)設置落雷時に特定回路をトリップさせる機器保護
雷保護設備の設置(避雷針)落雷時に地面へ電気を流す
接地工事の方法検討(環状接地)落雷時に地面へ電気を流す
水はけ・地盤条件良好な土地選択地面に帯電しない

落雷時に、「どのような方法で電気を逃がすか?」という接地工事の確認を、設計者・施工業者に問いかけましょう。

ソーラーパネルの火災事例を紹介

以下に、ソーラーパネルの火災事例を解説していきます。(一般住宅、一部抜粋)

火災場所原因発火内容件数
接続ケーブル野生動物による獣害電気ショートにより火花を起こして枯れ葉に引火1~2件
接続箱防水不良電気ショート・短絡7件
パワーコンディショナー端子締め付け不良電気ショート・短絡24件
出典:【消防庁】太陽光発電設備の火災事故事例

一方、「産業用太陽光発電所(事業用電気工作物)」の場合、災害件数は、2021年度で257件発生しています。火災の主な原因は、自然災害もしくは保守メンテナンス不良です。

ソーラーパネルの火災に関するよくある質問

ソーラーパネルの火災に関するよくある質問をご紹介していきます。

ソーラーパネルの火災の危険性は?

ソーラーパネルは火災の危険性があります。主な原因は以下の3つになります。

  • 自然災害
  • 施工不良
  • メンテナンス不良

ソーラーパネルの消化方法は?

消防庁より、ソーラーパネルの火災は「水」で消火が可能と回答されています。SNS上で「水」では消化できないと言われていましたが、情報を鵜呑みにすることは危険です。

ソーラーパネルの火災保険はある?

ソーラーパネルの火災保険は存在します。ソーラーパネルは「建物の火災」に分類されるので、火災によって被害が出た場合、火災保険が適用されます。

火災保険プランにより異なりますので、詳細は保険会社へ確認しましょう。

ソーラーパネルの原因や課題をわかりやすく解説

本記事では「ソーラーパネルの火災」に関して解説しました。火災対策は、事業を継続する上で「被害拡大+機器の破損・損傷防止」に繋がります。

消防庁では、実際に必要な感電災害防止用品として物品紹介がされており、災害時に速やかに消火活動へ動けるような準備が必要です。

また、消火活動は感電のリスクが伴うので、ソーラーパネルの火災に関する知識を付けておくことは重要です。

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