太陽光発電のピークカットとは?メリットやピークシフトとの違いを解説

太陽光発電において、「ピークカット・ピークシフト」は、収益に関係する項目のため重要です。本記事では、以下の項目で解説を進めます。
- ピークカット・ピークシフトの違い
- ピークカットするメリット・デメリット
- 過積載とピークカットの関係性
すでに太陽光発電を運用されている方、太陽光発電への投資を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
ピークカットとは

ピークカットとは、電力の使用量が最も多い時間帯に、電力会社より購入する電力を削減することです。ピークカットには、2種類あり、以下にまとめています。
- 節電目的のピークカット
- 過積載によるピークカット
ピークカットは、太陽光事業を行う上で重要になるため、この機会に理解を深めましょう。
太陽光発電におけるピークカット
過積載とは、一言で例えると「パワーコンディショナーの出力容量以上にパネルを接続する」ことです。
具体的には、太陽光パネル1,000枚の出力容量があるパワーコンディショナーに、「1,100枚(110%)」の太陽光パネルを接続する方法になります。
過積載を行うことで、全体的な発電量の増加が見込めますが、ピークカットする電力も増加することに繋がります。詳しいメリットに関しては、次章で解説を進めます。
過積載とピークカットの関係性
過積載とピークカットは、お互いに相乗効果を期待できます。
通常、太陽光パネルは直流電力で出力を行い、接続箱→集電箱を経由して、パワーコンディショナーにて交流電力(3相3線式)に変換されます。
ピークカットは、ピーク時にパワーコンディショナー出力容量を超えた電力をカットするので、過積載時は、ピークカットの対象となる余剰電力が多くなるデメリットがあります。
一方、ピーク時以外は、過積載により発電量が増えて、全体的に設備を効率よく運用することが可能です。
節電目的のピークカット

ピークカットには、節電を目的とした狙いもあります。
太陽光発電におけるピークカットは、ピーク時の出力電力をカットすることになりますが、節電目的の場合「使用する電力のピーク(山)」を抑えることが目的です。
そのため、以下のようなメリットがあります。
- 電気料金の使用量を抑えられる=電気基本料金が安くなる
- 売電以外の電力の使い道が工夫できる
電気料金の単価は、使用量が「多くなれば電気単価は高く」なります。
ピークカットを行うことで、需要量が多いときに発電した電力を使用することで、電力会社より購入する電力の削減が図れ、コストカットが可能です。
ピークカットとピークシフトの違い
ピークカットとピークシフトは目的が違います。以下に、具体的な違いをまとめました。
ピークカット | ピークシフト |
---|---|
電気料金最大デマンド時の使用削減を図る・電気料金のランニングコストを削減する | 電気使用を夜間帯へシフトする・蓄電池などにより電力を蓄え日中に使用 する |
ピークカットは「電力使用量を削減する」、ピークシフトは「電気使用時間帯をシフトする」と覚えましょう。ピークシフトは、日中での電気使用を極力削減を行い、夜間などで電気使用を行うことです。
例えば、家電製品・充電設備の使用や充電などを夜間にシフトすることになります。ピークカットとピークシフトを組み合わせることで、大幅なコストカットが可能です。
太陽光発電でピークカットするメリット
太陽光発電でピークカットするメリットを4つ解説していきます。
設備の発電量を底上げできる
ピークカットを行う事で、全体の発電量の底上げが可能です。
パワーコンディショナーの出力容量以上のパネルを設置する(過積載)事で、日射がある全時間帯で発電量が上昇するので、相対的な収益増加が見込めます。一方で、以下のような点も注意が必要です。
- ピーク時には一部電力を切り捨てることになる
- パワーコンディショナーをフル回転している状態
太陽光設備の重要機器であるパワーコンディショナーの稼働率が100%状態となっている可能性もあり、故障・トラブル等の注意が必要となります。
50kW以上でも低圧で契約できる
太陽光設備では、高圧・低圧の2種類で契約を結ぶことが可能です。一般的に「設備容量50kW以上」は、高圧設備に分類されます。以下に、具体的な数値をまとめています。
設備区分 | 高圧 | 低圧 |
---|---|---|
数値の例 | ・定格出力が50kW以上~2000kW未満 ・交流電圧600V以上 ・直流電圧750V以上 | ・定格出力が50kW未満 ・交流電圧600V以下 ・直流電圧750V以下 |
低圧の場合、太陽光パネル1枚300Wとして計算した場合の計算を、以下にまとめました。
パワーコンディショナー | 太陽光パネル |
---|---|
50kW未満 | 50,000W÷300W=166枚 |
パワコンメーカーにより異なりますが、太陽光パネル166枚が設置可能となりますが、過積載の場合、約10%程度の上乗せ設置が可能です。
そのため、低圧契約区分でも、約183枚のパネルを接続することが可能となります。
季節や天候の影響を緩和できる
過積載を行う事で、効率よく発電することが可能です。太陽光発電は、日射量や気象条件により出力が大きく左右されます。
過積載を行うことで、季節や天候の影響を緩和できるだけでなく、全期間で発電量の増加を図ることが可能です。
事業をする上で、収益差が大きくなると事業資金などにも問題が発生します。過積載は、その点を改善できる有効な手段です。
蓄電池でエネルギーを有効活用できる
蓄電池を活用してエネルギーを有効活用する方法も効果的です。蓄電池を併用することで、以下のようなメリットがあります。
- 余剰電力を蓄えられる
- 災害・停電時に活用できる
- 自家消費ができる
- 電力会社より購入する電力を削減できる
上記のような恩恵を受けるメリットが大きい場合、蓄電池の導入を検討してみるとよいでしょう。
太陽光発電でピークカットするデメリット
続いて、太陽光発電でピークカットするデメリットを解説します。
太陽光パネルの設置枚数が多くなる
太陽光パネルの設置枚数が多くなるため、設置費用が高くなります。過積載の大きな目的は、「収益増加」と「自然影響の緩和」です。
収益の安定性が増加する一方で、パワーコンディショナーの変換効率には変化がないため、変換時には同程度のロスが発生します。過積載分の電力が全て変換されるわけではない点にも注意が必要です。
パワコンの保証が外れる場合がある
ピークカットする場合、パワーコンディショナーの保証が外れる可能性があるので注意が必要です。
各メーカーにより、保証期間と保証対象機器は異なるので、忘れずに確認することが重要です。保証が付かない場合は、無理な過積載は行わずに施工会社まで確認を行い、同じトランス容量(電圧変換装置)で仕様変更(高効率・省スペース)の確認をしましょう。
ピーク時は電力を捨てることになる
ピーク時には、余剰電力を捨てることになります。余剰電力を捨てるということは、収益を見込めない発電があるということです。
余剰電力を捨てることに関して、もったいなく感じる方もいるでしょう。ただ、発電量が乏しい時間帯でも発電量の底上げが期待できるので、総合的に見ると収益は増加する可能性があります。
過積載が可能なパワコンメーカー例
過積載が可能なパワコンメーカーをまとめました。
メーカー | 過積載率(%) |
---|---|
オムロン | 250 |
HUAWEI(中国) | 300 |
安川電機 | 300 |
上記メーカーは、過積載が保証されていますが、保証される条件にも注意が必要です。以下に、注意事項をまとめました。
- 太陽光パネルからの入力電圧が、適正範囲であること
- 太陽光パネルからの入力電流が、最大短絡電流以下であること
短絡電流とは、電流の「ショート」とも呼ばれ、電気的に「+と-が接触」することです。この接触時に、大電流が流れ短絡電流と呼ばれます。
パワコンは太陽光発電所の心臓部分となるため、電気的な知識が必要です。分からない部分、疑問に感じた部分は業者へ確認を行いましょう。
蓄電池とピークカットで電気料金を抑える仕組み
蓄電池を活用したピークカットで、電気代をコストカットすることが可能です。蓄電池を併用すると、余剰電力を蓄えることができます。
そして、ピークシフトにより電気基本料金が高い時間帯での使用を極力抑え、安い時間帯(夜間)に使用することでコストカットが可能です。以下に、一覧表にして解説をしていきます。
時間帯 | 日中 | 夜間 |
---|---|---|
行動 | 節電を意識する | 電気を使用する |
ピークカット仕組み | 余剰電力は蓄電池へ蓄える(ピークカット) | 日中使用を夜間へシフト(ピークシフト) |
蓄電池を併用している場合、活用することで更なるコストカットが可能になります。
電気料金は最大デマンドが使用される
電気料金には、最大デマンドが適用されます。最大デマンドとは、30分間の最大需要電力量となり、電力会社が電気料金を決定する指針です。以下に、最大デマンドについて、まとめました。
30分最大需要電力量(W) |
---|
前半15分:200W 後半15分:150W(合計:350Wのケース) 200W+150W=350W350W÷2=175W(最大デマンド) |
上記の計算式は、前半・後半の15分単位で電気需要量が変わります。
1日24時間で、最大デマンド回数は30分に1回となり「1日48回」となり、最大需要量が少ない時間帯は料金が安くなり、需要量が多い時間帯は料金が上昇します。
電気需要量が少ない時間帯は、相対的に最大デマンドが低くなり料金も下がる仕組みです。
自家消費型太陽光発電と蓄電池で電気料金を削減する
自家消費型太陽光発電と蓄電池を併用することで、2段階でコストカットが可能です。
前項でも説明した「最大デマンド」の理解により、電気需要量の少ない時間帯にシフト(ピークシフト)することで、第1段階のコストカットが成り立ちます。
第2段階のコストカットは、蓄電池を併用することで、ピークカット時の余剰電力を蓄え、日中又は夜間どちらでも電力使用が可能です。
自家消費の詳しいメリット・デメリットに関しては関連記事で詳しく解説を行っています。
太陽光発電でピークカットを行う際に確認すること
ピークカットを行う前に、シミュレーションを行うことが重要です。シミュレーションを行うことで、以下のメリットがあります。
- 費用対効果が計算できる
- ピークカット時の対策が明確になる
- ピークカット時の時間帯が把握できる
- ピークシフト活用にも繋がる
過積載によりどの程度収益が増加するのか?という点を考慮するとよいでしょう。シミュレーションを行い、過積載による収益が見込めて初めてピークカットに繋がります。
お抱えの施工会社に、まずは過積載について相談してみましょう。
まとめ:太陽光発電のピークカットについて解説
本記事では、「ピークカットとピークシフトの違い」について解説を進めました。ピークカットは、電力の使用量が最も多い時間帯に、電力会社より購入する電力を削減することです。
ピークシフトは、最大デマンドによって電気料金が決まるので需要が多い時間帯の節電を行い、需要が少ない時間へ電気使用をシフトすることになります。
また、蓄電池を併用することで、節電対策が大幅に強化されるため、更なるコストカットが期待できるでしょう。
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