太陽光発電で赤字なる5つの原因は?投資資金を回収するためのポイントや年数を解説
「太陽光発電の赤字を抑えたい」
「太陽光発電所の売却を考えている」
「赤字になる原因や対処法を知りたい」
本記事は、上記の方に向けて執筆しています。
太陽光発電の投資が赤字になる原因には、売電価格の低下や天候の影響、出力制御の影響があります。
中には、「赤字の太陽光発電を手放したい」と思っている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、太陽光発電について、赤字になる原因や赤字を抑えるポイント、投資資金の回収シミュレーションなどを解説しています。
太陽光発電の運用にお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
太陽光発電が赤字になる原因5つ
太陽光発電が赤字になる原因は5つ考えられます。
- 出力制御の影響
- 天候や高温の影響
- 設備や機器の破損
- 売電単価の下落
- 廃棄費用等の増加
それぞれ解説します。
①出力制御の影響を受ける
出力抑制とは、電力会社が電力供給のバランスを保つために、発電設備の出力を一時的に制限することです。
出力抑制により売電が停止するとその期間は売電収入が途絶えてしまうので、赤字になる原因となります。
2023年度には、九州地方だけで約740GWhの電力が抑制されています。
売電量が十分あっても、電力会社から出力抑制の要請があれば従わなければなりません。以前は九州電力エリアのみで適用されていましたが、2024年は東京電力を除く全国エリアで要請されることが想定されています。
②悪天候や猛暑日の影響で発電量が落ちる
悪天候や猛暑日の影響は、太陽光発電で赤字になる典型的な原因です。
雨天や曇天が続く月は、売電収入が大幅に減少します。
また、太陽光パネルは高温になると発電効率が低下します。
日射量が多い夏は、最も発電効率が高いと思われがちですが、実際には3月~5月の晴れた日が最も発電効率が良いのです。
近年の日本では、夏に猛暑日を記録する日が増えていることから、太陽光パネル等の半導体の故障リスクが上がっていることも、赤字の要因として挙げられます。
③設備や機器が破損する
自然災害の影響で、太陽光設備が破損してしまう可能性があります。
破損した場合、修理を行わないと稼働できないことが多く、その期間は売電収入が得られません。
突然の災害の予測はできませんが、設置した場所や地域によって、積雪や台風など影響を受ける災害は、ある程度予測できるので、地域の特徴を考えた上での設置が望ましいです。
以下、設備が破損する具体例をあげます。
- 地震で太陽光パネルが割れたり架台がゆがむ
- 津波で太陽光設備が流される
- 潮風の塩害で太陽光設備が腐食する
- 集中豪雨で太陽光設備が水没する
- 積雪の重みで太陽光パネルや架台が壊れる
- 夏の高温で太陽光電池や半導体が故障する
④売電単価が下落している
FIT制度初期の2012年当時に比べると、設備に使う部材の選択肢が増え、大幅にコストを削減できるようになってきたため、太陽光発電の設置にかかる費用が下がっています。
売電価格は発電設備の設置や維持管理にかかるコストを基にして設定されているので、設置コストが下がれば売電価格も下がる仕組みです。
実際、2012年では1kWhあたり40円でしたが、10年後の2022年は11円、2023年は10円と売電価格は減少し続けています。
今後は市場的に、売電で儲けることは難しいと言えるでしょう。
事業用太陽光(10KW以上)【20年】 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
年度 | 調達価格 | |||||
2012年 | 40円 | |||||
2013年 | 36円 | |||||
・・ | ・・ | |||||
2022年 | 入札制12円/11.5円(250KW以上) | 10円(50KW以上250KW未満) | 11円(10KW以上50KW未満) | |||
2023年【地上設置】 | 入札制9.50円/9.43円/9.35円/9.28円(250KW以上) | 9.5円(50KW以上250KW未満) | 10円(10KW以上50KW未満) | |||
2023年【屋根設置】 | 12円 | 9.5円(50KW以上) | 10円(10KW以上50KW未満) |
⑤廃棄費用等の経費が増加する
太陽光発電を設置した後は、保守点検費用や保険料などの維持管理費の他、太陽光発電設備を廃棄するための費用がかかります。
そのため、廃棄費用等積立金制度が創設され、2020年6月から出力10kW以上の太陽光発電設備に対して、廃棄費用の積立義務が課せられました。
この積立制度はFIT制度が終了する10年前から始まり、積立金は売電収入から差し引かれる形で、1kWhあたり約0.5円から1.5円の負担となります。
太陽光発電の赤字を防ぐためのポイント5つ
太陽光発電の赤字を、どうしたら防ぐことができるでしょうか。
主な対処法は、以下の5つです。
- 投資資金は多めに用意する
- 災害によるリスクを想定しておく
- 低金利なローンを探す
- 先端設備導入計画を活用する
- 中古太陽光発電の売却を検討する
それぞれ解説します。
投資資金は多めに用意する
太陽光発電の導入には多くの費用がかかります。
産業用の場合、1kWあたり約25万円の導入費用が必要です。
例えば、50kWを導入する場合、導入費用は約1,250万円になります。
太陽光発電は資金の回収に時間がかかるため、資金ショートしないためにも導入資金を多めに用意しておくことが重要です。
また、保守点検費用や設備のメンテナンスなどのランニングコストも継続的に支払わなければならないため、これらの費用も考慮して資金計画を立てる必要があります。
災害によるリスクを想定しておく
太陽光発電設備を設置しようと考えている所在地の気候や、過去に起きた災害などを数年間のデータから分析しておくことが重要です。
確認しておくポイントは以下の通りです。
- 台風の通りやすさ
- 梅雨時の日照時間
- 過去の豪雨被害
- 土砂災害
- 突風の起りやすさ
- 雹霰(ひょうあられ)の災害
- 積雪の状況
- 地震や津波の影響
特に、自宅と発電所が離れている場合は、事前によく確認する必要があります。
低金利なローンを探す
利息の負担を抑えるために、低金利なローンを探すことが重要です。
自治体の融資制度や政府が100%出資している日本政策金融公庫からの融資の場合、金利を優遇してもらえます。
提出する書類が多いですが、低金利で借りられることは大きなメリットです。提出する書類が多く時間がかかりますが、低金利で借りすことができることが大きなメリットです。
7,200万円以内だと0.3%〜2.0%の金利となっています。
銀行や信用金庫の金利は、1.8%〜2.5%程度と比較的低い傾向があります。
ただし、メガバンクなどは個人に融資をしておらず、信用金庫の場合は会員のみが対象です。対象となっています。
先端設備導入計画を活用する
先端設備導入計画は、中小企業や個人事業主が、生産性向上の観点から先端設備を導入する際に、税制優遇や補助金を受けられる制度です。
この制度を活用すれば、経費削減に貢献することができます。
法人と個人事業主が支援制度の対象者です。
個人の場合は、個人事業主として事業届を提出しておく必要があります。
生産性向上を目的とした設備導入計画を提出しなければなりませんが、申請は中小企業庁のサイトから行うことが可能です。
ただし、内容が修正される場合もあるので、中小企業庁の公式サイトをチェックしましょう。
中古太陽光発電の売却を検討する
太陽光発電所の売却を検討するのも一つの方法です。
2024年時点で、中古太陽光発電所市場(セカンダリー市場)の需要は高まっており、物件を探している投資家が多く、売り手市場になっています。
中古の太陽光発電所はすぐに稼働可能であり、過去の発電実績を基にした正確な収支計算ができる点が魅力です。
また、固定買取価格が高いため、売電収入を増やしやすいというメリットもあり、ローンが残っていても借入残高を上回る価格で売却できる可能性があります。
何年で回収できる?太陽光発電のシミュレーション
資金回収に何年かかるのか、実際にシミュレーションをしてみます。
シミュレーションには利回りが必要です。
利回りには①想定表面利回りと②実質利回りがあります。
①想定表面利回り=年間売電収入÷初期費用×100
②実質利回り=(年間売電収入-年間支出)÷初期費用×100
正確な数値を求めるためには、実質利回りを使います。
以下の条件の場合で、「利回り」と「回収期間」のシミュレーションを行います。
初期費用 | 1,400万円 |
年間売電収入 | 売電価格11円/kWh × 想定発電量100,000kWh |
年間支出 | 20万円 |
利回り計算
(年間売電収入-年間支出)÷初期費用×100
(11×100,000-200,000)÷14,000,000×100=6.42%
回収期間計算
100÷6.42(実質利回り)=約15.5年
16年以内に初期費用が回収できます。
太陽光発電で投資資金を回収できないパターン
太陽光発電で投資資金を回収できないパターンは以下の3つです。
- FIT制度が廃止されている
- 節税対策が活用できない
- 初期費用が高い
それぞれ解説します。
FIT制度の終了
FIT制度とは、再生可能エネルギーの普及を促進するために導入され、一定期間、固定価格で電力を買い取る仕組みです。
制度開始当時は買取価格が高額でしたが、現在FIT制度を導入できている稼働中の太陽光発電も年々買取価格が低くなっています。
現在、新規の太陽光発電事業は、FIT制度を活用できません。
今後はFIT制度に代わるFIP制度が適用されることになり、市場価格にプレミアムを上乗せして電力を買い取る仕組みとなっています。
節税対策を活用できていない
発電した電力の売電収入があっても、投資した資金を回収するためには、適切な節税対策が必要です。
太陽光発電の投資は、設備が大規模になる傾向があり、新品・中古を問わず固定資産税の負担が大きくなります。
また、事業として売電収入を得る場合、法人税が課せられます。計上できる経費が大きくなるように減価償却を適切に活用しないと、高額な税金を負担しなければなりません。
お抱えの税理士に相談するなどして、コストを抑える工夫が必要です。
初期費用が高い
太陽光発電は初期導入費用が高額なため、資金回収がきかなくなることがあります。
また、見積もり時に費用を水増しするなどして、施工費用がかさむ悪徳業者が存在するため注意が必要です。
複数の企業を比較検討し、実績や評判を確認しておきましょう。
適正な価格や高品質な施工を提供する企業に依頼することがポイントです。
太陽光発電の導入後は赤字になる場合がある
太陽光発電を導入後、赤字が続く可能性があります。
これはローンの利息などの負担が大きいためです。
しかし、消費税の還付を受けることで、赤字を回避できる場合があります。
消費税の還付とは、設備導入時に支払った消費税を一定条件の下で返金してもらう制度です。
この還付を受けるには、事前に消費税課税事業者の登録が必要なので、必ず登録をしておきましょう。
還付を利用することで、初期費用の負担を軽減し経営を安定させることが可能です。
太陽光発電は20年単位で見ると黒字になる
太陽光発電の投資は長期的に見ると黒字になる傾向があります。
運用から時間が経過すれば、ローン返済などの費用負担が減少するためです。
20年単位で考えると、初期投資を回収し、その後の収益がプラスになります。
購入を検討している場合は、シミュレーションの計算に慣れている業者や、買取・販売の実績が豊富な企業を選ぶことが重要です。
実績のある業者なら、信頼性の高い予測ができるので、長期的な利益を確保しやすくなります。
まとめ:太陽光発電の赤字を抑えるためにポイントを抑える
本記事では、「出力制御の影響」や「気象条件の影響」など、太陽光発電の投資が赤字になる原因について解説しました。
赤字を防ぐためのポイントとして、低金利ローンの利用や税金対策を活用することで黒字化しやすくなります。
また、中古太陽光市場における需要は高く、運用途中での売却も高価買取が期待できます。
すでに太陽光発電所を運用している方は、一度売却を検討してみるのも良いでしょう。
グッド・エナジーでは、太陽光発電の無料概算査定を行っており、3カ月の買取保証も付いているため、安心してご利用いただけます。
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