太陽光発電の寿命がきたらどうすべき?寿命を延ばす3つの対処法や注意点を解説
2012年7月に導入されたFIT制度(固定価格買取制度)より、太陽光発電所の新設工事が進んでまいりました。
事業者の間では、「FIT制度終了後はどうするのか・・?」「寿命がきたらどうするのか・・?」という不安の声があるのも事実です。
本記事では「太陽光発電所の寿命がきたらどうするのか?」に関して、以下の項目を深堀りします。
- 寿命がきたらどうなる?
- パネル、周辺機器の期待寿命
- 寿命を伸ばす方法
- 寿命が来る前に売却する方法
ぜひ最後までご覧ください。
目次
太陽光発電の寿命がきたらどうなる?
「どのような状況が寿命なのか?」
まずは、寿命がきたら起こりうる具体的な事象の解説を進めます。
太陽光パネルの発電効率が低下
太陽光パネルの寿命に関して、メーカーは「20年~30年」と発表しています。
この数字だけ見るとFIT取得年度をクリアすることが可能です。
しかし、太陽光パネルは消耗品と考える必要もあります。稼働年数と比例し、発電効率は下がるからです。
発電効率の低下はパネルの発電量以外の要因もありますが、発電効率の大元であるパネル発電量が低下すると、相対的に発電効率が低下します。
事業者としては、発電効率の低下割合を確認しておくことが必要です。
太陽光パネルや周辺機器の破損
太陽光発電では、パネルが発電した直流電流を「交流電流(三相交流)」に変換する必要があります。
変換しないと、電力会社に電力を受け取ってもらえないためです。
その重要な役割を担うのがパワーコンディショナー(通称:パワコン)になります。
パワコンは発電所の心臓部になり、寿命は約10年程度です。
この機器が破損すると売電はおろか、発電所としての機能が失われます。
そのため、定期的に専門業者に点検してもらうのがオススメです。
また、パネルの破損にも注意が必要になります。
パネルは強化ガラスで表面をコーティングしていますが、飛び石や少し大きな木の枝が当たったりなどでヒビが入り、セルと呼ばれるパネル主要部が破損することも多く、発電量に大きく影響します。
事業者としては、発電所の外観や各機器の確認も必要です。
蓄電容量の低下
発電所の導入と併用して蓄電池の導入も盛んですが、蓄電池もパネル同様に、稼働年数と比例し性能が低下していきます。
そのためパネル同様に、消耗品と考えることが必須です。
蓄電池は「〇〇年」という表記ではなく、サイクル回数で寿命が表示されています。
サイクル回数とは、満充電から完全放電までを行った回数です。
すなわち、「100%まで充電した蓄電池を0%まで完全放電した1回=1サイクル」となります。(メーカーにより定義は異なります。)
想定できるサイクル回数、又は今後のサイクル回数の予測が必要です。回数予測を怠ると、知らないうちに蓄電容量が低下している可能性があります。
太陽光パネルの期待寿命と法定耐用年数
太陽光パネルには「期待寿命」と「法定耐用年数」が存在します。
上記の年数にはどのような違いがあるのか?それぞれ解説します。
期待寿命は約30年
「期待寿命」とは、パネルが発電を続けられる年数です。
この年数は「20年~30年」とメーカーより発表されています。
そのため、FIT制度満了後も、発電による売電を行うことが可能です。
例として、1984年に千葉県佐倉市に設立された「佐倉ソーラーエネルギーセンター」の多結晶シリコン太陽電池パネルを紹介します。
上記のパネルは、2021年時点でも発電が確認でき「36年間」も発電していることが報告されています。
出典:京セラの特長
定期的なメンテナンスとリスク排除を行うことで、20年を超える長期的な発電が可能です。
法定耐用年数は17年
「法定耐用年数」とは、減価償却が可能となる期間で、期間中は経費計上が可能です。
太陽光パネルは、国税庁より「改正後資産区分のその他設備、主として金属製」と定められており、期間は17年間です。
参考:【国税庁】機械及び装置の耐用年数表(新旧資産区分の対照表)
太陽光発電の運用は、「償却期間が過ぎたらどうするか」など、出口戦略も考えておく必要があります。
周辺機器の寿命
太陽光発電所と聞くと、パネルのイメージが強いですが、実は発電所の「心臓部」と例えられる「パワーコンディショナー」や電気を蓄える「蓄電池」なども設置されています。
続いて、周辺機器の耐用年数について解説を進めます。
パワコンの寿命は約10年
パワーコンディショナー(通称:パワコン)は、パネルからの直流電源を交流電流に変換する重要な設備になります。
自動車のバッテリーなど直流電流は時々見かけますが、一般家庭の100V/200Vは交流電流のみです。(一部「R相・S相・T相」動力電源もある)
パワコンはパネルからの直流電流を変換するのに熱を発生させ、メガソーラー級になると、専用のパワコンハウス(冷暖房付)に設置されます。
一般的なパワコン寿命は「約10年」とされています。
本体主要部は10年程度ありますが、冷却ファンや各種地絡センサーなどの「電源設備保護装置」は、雷などの影響を受け故障するリスクがあり、定期的なメンテナンスが必須です。
蓄電池の寿命は約10年
蓄電池は乾電池とは違い「二次電池」に分類され、大きな違いは充電して再び使用できる点です。
パネルで発電した電力を日中蓄え、夜間放電することで電子機器などが使用可能になります。
再び日中になると電力を蓄えることが可能です。
蓄電池の寿命は「約10年」になります。
多くのメーカーではサイクル数で寿命を明示しているので、各メーカーごとに確認が必要です。
ここでは「サイクル数6,000回のケース」の一例を紹介します。
メーカー表示サイクル数 | 満充電~完全放電回数 | 寿命日数(回数/365日) |
6,000 | 2回/1日 | サイクル6,000÷2回=3,000回3,000回÷365日=8.2年 |
このサイクル数計算では以下のポイントに注意が必要です。
- 1日あたりの完全放電回数
- DOD(Depth Of Discharge)=満充電放電容量
「満充電放電容量」は、蓄電池を何%まで放電するかという容量になります。この数字がメーカーにより「80%~100%」と変化するので注意が必要です。
10年経ったら売電メーターを交換
売電メーターとは、太陽光パネルで発電した電力を測定する装置です。
発電所には必ず売電メーターが必要になります。
基本的に発電所工事内容には含まれないので、設置に関して事業者は各電力会社に工事時期・費用などの事前確認が必要です。
売電メーターの寿命は「約10年」とされています。
費用に関しては管轄電力会社により異なるため、無償・有償の確認が必要です。
メーターの液晶が飛び石で割れてしまった場合、正確な数値がわからなくなるので、定期的にメンテナンスを行いましょう。
太陽光発電が劣化する理由は?
太陽光発電所は年数と共に各箇所の劣化が避けられません。
パネルや機器破損などは、部品を取り換えれば済みますが、劣化に伴う出力不足になると、話は変わります。
特に経年劣化による(ケーブル被服の剥がれで発生する)漏電などは、原因追及が困難です。
ケーブル関係、機器関係は水気が劣化トラブルの最大のリスクとなります。以下の項目を確認しておくことが必要です。
- ケーブル管口の防水処理
- 各種分電盤の防水処理
- パワーコンディショナーの湿気対策
太陽光発電に寿命がきた時のリスクや注意点
太陽光発電所の劣化は避けては通れない問題です。
具体的にどんなリスクがあるのか?深堀りしていきます。
メンテナンス費用が増える
発電所の劣化が進むと、機器以外にケーブルなどにも修繕費用が発生します。
太陽光発電所のケーブルは大きく4種類のケーブルサイズで構成されており、電力会社系統に近づくほどサイズが大きくなり金額も高価です。
接続箱付近なら「パネル〜接続箱」のみ遮断して作業が可能ですが、パワコン周辺となると全系統を遮断して作業しないと感電の危険性があります。
それに伴いメンテナンス費用も高額になり、事業者の金額負担が大きくなります。
事前に専門業者に「絶縁抵抗測定」など、ケーブルの被覆状態のチェックについても依頼しましょう。
廃棄費用の負担が増える
突発的な物損事故などでパネルが破損した場合は交換が必要になります。
パネルは常に電力を発電しているので、電気工事士の有資格者が作業します。
また遊休地などでは問題ありませんが、建屋屋根に設置されているパネルの場合は、作業者が屋根まで昇降するための外部足場費用なども発生します。
寿命がきたら売却できる可能性が下がる
太陽光発電所は寿命がきたら売却価格が下がります。
年数が経過するほど、「メンテナンス費用の増大」と「安定した収益が見込めない」ことに繋がるからです。
故障などのリスクは買い手の購買意欲を下げてしまいます。
売却を検討する際は、早めに行動・判断することも重要です。
太陽光発電の寿命を延ばす対処法3つ
続いては、発電所の寿命を伸ばす対処法について解説します。
①定期的にメンテナンスを実施する
定期的なメンテナンスの実施は重要です。
大雪や黄砂などの後は、パネルに影ができ出力に影響します。
また、前項でも説明した水気対策も非常に大切です。
モニターなどの視覚情報だけでなく、重要機器保護に向けた細かい項目もメンテナンスしましょう。
②定期的にモニターをチェックする
太陽光パネルや周辺機器に異常がある場合は、遠隔監視装置やモニターに表示されます。
それは異常検知する接点(リレー)などが異常値を計測したため作動した証拠です。
接点は、異常作動は考えにくく、ある一定の値をオーバーした時点で作動する仕組みです。
このような不具合もモニターなどで監視が可能です。
異常を発見した場合は、早期解決に取り組みましょう。
③トラブル時にメーカー保証を活用する
トラブル・故障時には、メーカー保証を活用することが最善策です。
機器本体の故障ではなく、搬入運搬時にトランスの1次側(大電流受電部の銅板)が、何らかの原因で折れてしまい接続施工不可能だった報告も過去にあります。
このように、重大トラブル時にはメーカー保証を活用して無償修理を受けましょう。
事業者は、納入される「機器保証書」「メーカー保証期間」を完成図書で確認しておくことが重要です。
寿命がくる前に太陽光発電を売却するメリット
寿命が来る前に発電所を売却すると高価買取が期待できます。
どのようなメリットがあるのか?解説していきます。
高値で設備を売却しやすい
寿命前が来る前の売却は、高値での売却が期待できます。
それは「過去の発電実績」が一番関係しているからです。
過去の発電実績は、買い手が一番みる項目でもあります。
ただ、過去の発電実績がよくても、寿命が来てしまった場合は発電実績を上げるために、各所修繕工事が必要です。
過去の実績と現状の実績に大きな変化がない今が高価買取のチャンスにもなります。
メンテナンス費用の増加を防げる
寿命が来た発電所は、修繕工事費用が発生します。
工事内容は以下のように項目が多くあり、費用が膨れ上がる可能性があります。
- 機器交換
- ケーブル修繕
- 除草対策
- 錆止め対策
メンテナンス費用を減らし他の投資先へ移るためにも、早めの行動が大切になります。
資金を確保できる
ほかにも、「資金を確保できる」という点も大きなポイントです。
太陽光は魅力的な投資先ですが、経年劣化による寿命が近づくと、資金をメンテナンス費用に当てる必要があります。
「メンテナンス費用軽減」+「売却資金」を確保することで、新たな投資先へ資金を流入することができる点もポイントです。
太陽光発電の寿命が来る前に売却も検討できる
本記事では、「太陽光発電の寿命がきたらどうするのか?」について解説を行いました。
以下に本記事のポイントをまとめています。
パネル・周辺機器の耐用年数 |
定期的なメンテナンスの重要性 |
発電所の寿命が近くなるリスク |
発電所の寿命を伸ばす方法 |
寿命が来る前の売却について |
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