太陽光発電所は雪の影響を受ける?積雪地帯で運用する際の対策や注意点を解説!
積雪地帯で太陽光発電所を運用する場合、売電収入が大きく減少する可能性があります。
積雪地帯は気温が低いため、パネルに積もった雪が溶けづらく、発電量が減少するためです。
本記事では、太陽光発電所が受ける雪の影響について、以下の内容を解説します。
- 積雪地帯で太陽光発電所を運営する注意点
- 太陽光発電所の雪対策
- 積雪地帯で太陽光発電所を運営するメリット・デメリット
- 設備を売却する方法もある
雪の影響で発電量が減少する理由や対策をまとめているので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
太陽光発電所が受ける雪の影響
太陽光発電所が受ける雪の影響について、3つの観点から解説を進めます。
発電量が減少する
雪の影響を受けると、発電量が減少する可能性があります。太陽光発電は、太陽光エネルギーを電力に変換するシステムです。そのため、日射量が発電量に大きく影響を与えます。
以下に日射量の天候別の数値をまとめています。
天候 | 日射量(KWh/m2) |
---|---|
晴天 | 0.9 |
曇り | 0.2~0.5 |
雨 | 0.1~0.2 |
雪 | 0.1以下 |
曇り・雨の日はある程度の発電量は見込めますが、雪になると発電量が「0」近くまで落ちてしまうことが分かります。
雪の重さで太陽光パネルが損傷する
雪の重さで太陽光パネルが損傷する恐れがあります。太陽光パネルは1枚あたり約20kg前後の重量があり、一定の積雪に耐えられるよう設計されています。
しかし、積雪荷重が設計上の許容量を超えてしまうと、パネルに負荷がかかり破損のリスクが高まります。
また、積雪時の雪の重さは「1m3=約300~500㎏」と言われています。
1m3とは、1mサイズで、「縦×横×高さ」の範囲で雪が積もった場合の重量です。積雪地帯では、上記のような積雪が想定されるため、パネルの積雪荷重を意識することは重要です。
落雪で事故が発生する
太陽光に積もった雪を放置すると、落雪の危険性もあります。
パネル表面は滑りやすくなっていて、表面も撥水コート(水を弾く・流す)などが施され滑りやすくなっているため、積もった雪が流れやすくなります。
点検中の雪下ろしで、パネルに積もった雪を落とした際、落とした雪が足元に積もり躓く可能性もあるので注意が必要です。
雪は塊になれば、思っていたより重く足元を取られます。遊休地や山岳地帯で太陽光発電を運用している場合、落雪にも注意しましょう。
太陽光発電所の雪対策
続いて、太陽光発電所の雪対策について解説します。
破損を確認したら業者に相談する
雪による機器破損・損傷を確認した場合は、すぐに施工業者に連絡しましょう。保証期間内の不慮の破損などは、保険で対応できる場合もあります。また、破損・損傷を発見した場合は、自分自身で作業するのを控えましょう。
パネルやパワコン・集電箱・接続箱は、常に発電しており電圧は400Vを超えるため、感電の危険性があります。
一例ですが、「15直列1回路」の中のパネル1枚が、雪の影響で破損した場合を考えてみましょう。前後直列で接続されているパネルに電圧が通電しなくなり、結果的にその破損した1回路は「出力0」となります。
迅速に復旧作業を行わないと、発電量が減少する可能性もあるため、すぐに施工業者に連絡をしましょう。
落雪を防止する機器を導入する
落雪による危険度を下げる目的で、「落雪防止装置」を導入するのもオススメです。
落雪防止装置とは、積もった雪が一気に落下しないよう、雪を塞き止める装置です。
敷地境界線が他所有者と近接している場合は、トラブルの防止目的としても効果が期待できます。
一方、雪を塞き止める装置になるので、パネル表面に雪が残りやすくなり発電効率が低下する恐れもあります。
メリットやデメリットを考慮した上で設置を検討することがポイントです。
耐雪性に優れている太陽光パネルを選ぶ
積雪地帯で太陽光発電所を運営するには、耐雪性に優れたパネルを選定することが重要です。
耐雪性に優れたパネルを選定することで、破損・損傷のリスクを下げることが可能です。
各都道府県には、「垂直積雪量」という数値が定められています。垂直積雪量とは、国土交通大臣が定める基準に基づいて特定行政庁が定める数値を指します。
以下に各都道府県の、垂直積雪荷重をまとめています。
都道府県 | 垂直積雪量(㎝) |
---|---|
北海道札幌市(南区の一部) | 190 |
青森県青森市 | 180 |
東京都八王子市 | 40 |
宮崎県宮崎市 | 15 |
垂直積雪量に優れたパネルとして、以下の国産メーカーのパネルがあります。
メーカー | 垂直積雪量(㎝) | 価格(円)(メーカー小売り希望化価格) |
---|---|---|
SHARP NU-259HM | 200 | 214,000 |
Panasonic VBMS285AJ05 | 250 | 135,000 |
費用はかかりますが、破損・損傷による売電収入の減少を考慮するなら、垂直積雪量に優れているパネルの導入がおすすめです。
発電量が減少したら除雪を行う
発電量が低下したら、除雪作業を行いましょう。パネルの除雪作業は、下段は手が届きますが、上段になると手が届かず脚立などを使用しての高所作業となります。
パネル周辺に積雪がある場合、以下のような状況が予測されます。
- パネル表面の雪を逃がす場所がない
- 積雪により、足元地盤が緩く足場が安定しない
素人が作業すると、落下の危険性や作業効率の悪循環等などが考えられますので、施工業者又は0&M業者に除雪を依頼しましょう。
遠隔監視で設備の状況を定期的に確認する
発電量が低下した場合は、定期的に遠隔監視装置で確認をしましょう。太陽光発電所の遠隔監視には、大きく分けて以下の種類があります。
- RS485通信
- CTセンサー
RS485通信は、以下のようなメリット・デメリットがあります。
メリット | デメリット |
---|---|
多数の計測機器と接続可能 | ノイズがのる危険性がある |
長距離伝送が可能(最大通信距離1,200M) | 導入費用が高額になる |
ポイントは、「敷設ルートの確認(電源種別別敷設)・ノイズ対策工事(A種・C種・D種)」を施工業者に依頼することです。
続いて、CTセンサーは、設置が簡単で、コストパフォーマンスに優れています。センサー自体は、電流のみの計測になるので、故障時に詳細場所が特定しにくくなります。
代表的な積雪地帯
日本は世界有数の「積雪国」でもあります。その中でも、特に多くの積雪がある地域を「豪雪地域」と呼びます。
以下に、主な豪雪地域を都道府県名でまとめています。
- 北海道
- 青森県
- 新潟県
- 山形県
- 福島県
豪雪地域で太陽光発電を運営する場合、冬期は豪雪を理由に売電の収益増加を図ることが難しいです。
冬場の発電量減少をリカバリーするには、春~夏にかけて発電量を伸ばすことがポイントになります。
発電量を伸ばす対策 | 具体的内容(メリット) |
---|---|
パネルの過積載検討 | 発電損失10%を見込み、設計枚数より+10%パネルを過積載する |
高効率パワーコンディショナー設置 | 電圧を上げることで、電流値が下がり変換効率が上昇する |
高圧系統連系の検討 | 電圧を上げることで同じ出力であれば効率が上昇する |
積雪地帯で太陽光発電の投資を行う時の注意点
続いて、積雪地帯で太陽光発電の投資を行う際の注意点を3つ解説します。
太陽光パネルの角度を意識する
積雪地帯では、積雪の被害を緩和するために、太陽光パネルに角度をつけることが推奨されています。
パネルの角度をつけることにより、積もった雪がスムーズに落下します。一般的に、「15度以上」角度をつけることがポイントです。
一方で、以下のようなデメリットもあります。
- パネルに角度をつけると、風の抵抗を受ける面積が大きい
- パネルに角度に合わせた強度計算、材質の検討が必要
- 前後アレイ間隔が広がるので設置枚数が少なくなる
- パネルの保守メンテナンスに労力がかかる
費用対効果を加味して、パネルの角度を施工業者と相談しましょう。
太陽光パネルの高さを意識する
地面からパネルまでの高さを十分に確保することは重要です。積雪地域では、地面からパネルまで雪が積もってしまうことがあるためです。
地面からパネルまでの高さが低い場合、パネル表面の雪が落下しない危険性があります。地域に関して、以下の項目を調査することがポイントです。
- 運営地域の想定積雪量
- 地面とパネル下部の間の地上高
- パネル下部の排水溝の検討
パネル下部に排水溝などが施工可能であれば、落ちた雪を水に流して溶かすことも可能です。
架台の強度をチェックする
太陽光パネルを乗せる架台の強度も確認しましょう。積雪地域では錆びによる架台の浸食が多く、一カ所錆びれば浸食がすぐに広がってしまいます。
錆びの初期段階では、タッチペンなどで補修可能ですが、広がりすぎると手に負えません。錆び対策として以下の項目を確認しておきましょう。
- 架台の強度変更(剛性・せん断応力)
- 架台の塗装(電気メッキ・溶融亜鉛メッキ)
- 架台繋目のボルト仕様変更(塗料・材質)
架台の変更・修繕を行うことで費用はかかりますが、修繕後は安心して運営することが可能です。
架台が積雪で破損して、その回路の発電が無駄にならないよう対策しましょう。
積雪地帯で太陽光発電所を運用するメリット
積雪地帯で太陽光発電を運用するメリットを以下にまとめています。
- 夏場の出力量に期待が出来る
- 台風などによる自然災害のリスクが少ない
- 雪対策次第では、冬場の発電量を確保できる
積雪地帯では、夏場の気温上昇が他のエリアに比べて低いことから、夏場の発電量増加に期待が見込めます。
太陽光パネルは、表面温度「25℃」の時に最高出力を得られるため、夏場で気温が上昇しすぎた場合、発電量が低下する危険性があります。
上記のように、気温が低い積雪地帯の特性を生かして運用することが可能です。
積雪地帯で太陽光発電所を運用するデメリット
積雪地帯で太陽光発電を運用するデメリットを以下にまとめています。
- 積雪状態が長引くと収益が減る
- 降雪時のメンテナンス・保守点検は手間がかかる
- 電気設備機器への錆対策・防水対策費用が発生する
積雪地帯では、他の地域と比較して雪対策の費用がかさむ傾向があります。発電所の電気機器は、水の侵入や錆び・浸食が始まると一気に広がり、メンテナンス頻度も増加します。
発電所全体の雪対策に気を遣い、長期的に収益を確保することが重要です。
雪対策として設備を売却する方法もある
積雪地帯で太陽光発電所を運営する場合、以下の点を考慮することが重要です。
- 架台の強度
- パネルの積雪耐荷重
- 架台塗装の厚み(錆対策)
- 除雪作業
- 各機器の雪対策
上記項目を設備に新たに導入や修繕する場合は、別途費用が発生します。もし、導入コストやメンテナンス費用の負担で採算が合わない場合、太陽光発電所を売却する方法もあります。
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まとめ:太陽光パネルは雪の影響を受けるため注意が必要
本記事では「積雪地帯で太陽光発電所を運営する際の注意点」に関して、以下のことを解説しました。
- 太陽光発電所が受ける雪の影響
- 太陽光発電所の雪対策
- 積雪地帯で事業を行うメリット、デメリット
- 設備を売却する方法もある
積雪地帯で太陽光発電所を運営する場合、積雪対策のために費用がかかります。冬場の積雪対策を実施し、発電量の増加が見込めれば、事業として収益が期待できます。
一方で、メンテナンス費用がかさみ採算が合わない場合、設備を売却する方法があります。
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