太陽光発電は天気に左右される?発電量への影響と解決策を解説

太陽光発電は、天候や気候条件によって発電量が大きく左右されます。晴天時はもちろん、猛暑や曇天、地域特有の気候特性も発電効率に影響を及ぼします。
本記事では、天気や季節による発電量の変化や、地域別・季節別に発電効率を維持するためのポイントを解説します。
太陽光発電の導入を検討中の方だけでなく、すでに設置済みの個人・法人の方、気候特性を重視する個人・法人の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
天気による太陽光発電の発電量への影響
太陽光発電は、天候により太陽光パネルが影響を受け発電量が左右されます。主な影響は、次の3点です。それぞれ解説します。
- 高温下では発電効率が低下
- 太陽光パネルの汚れの蓄積
- 悪天候での発電量の低下
高温下により発電効率が低下する
太陽光パネルは高温に弱く、気温が上がると発電効率が大きく低下します。現在主流であるシリコン系パネルは、最適温度が25℃とされており、1℃上昇するごとに約0.5%ずつ発電量が減少する傾向があります。
夏場は太陽光パネル表面温度が80℃近くになることもあり、発電ロスが30%に達する場合もあり、通風環境の確保や設置方法の見直しが重要です。
また、パワーコンディショナー自体も高温の影響を受けやすいので、冷却対策が必要となります。
太陽光パネルに汚れが蓄積する
太陽光パネルに付着する汚れの主な原因となるのは、雨や風で運ばれる土埃、花粉などです。特に梅雨時期や黄砂の多い春先は、汚れが蓄積しやすい傾向があります。
こうした汚れは発電効率を低下させるだけでなく、部分的な汚れが「ホットスポット」の原因となり、電気抵抗増大によるパネルの故障や発熱・火災につながるリスクがあります。
太陽光パネルの洗浄によって発電効率が5%〜10%以上向上する例もあり、定期的な清掃が発電量を維持する上で有効です。
悪天候が続くと発電量が低下する
悪天候が続くと、太陽光発電の発電量は大幅に減少します。曇りの日は晴天時の10%〜33%程度、雨天の場合は5%〜20%程度まで発電量が落ち込むことも珍しくありません。
これは、曇りや雨の日には太陽光が雲や雨粒に遮られ、パネルに届く光が大幅に減少するためです。散乱光によって発電は続きますが、晴れの日に比べると効率は大きく下がります。
天候に左右されにくい太陽光発電を行うための工夫
天候の影響を受けにくい太陽光発電を実現するには、いくつかの工夫がポイントとなります。
- 高温でも発電効率が落ちにくい太陽光パネルを選ぶ
- 雨天後にメンテナンスを実施する
- 曇天に強い太陽光パネル(低照度対応型)を選ぶ
これらの方法について、詳しく解説していきます。
高温でも発電効率が落ちにくい太陽光パネルを選ぶ
太陽光パネルは高温に弱く、気温が上がると発電効率が下がります。これはパネル内部のシリコン半導体が熱により性能を落とすためで、温度が25℃を超えると、1℃ごとにおよそ0.4%〜0.5%ずつ発電量が減少します。
真夏にはパネル表面温度が約80℃に達し、最大で30%近く発電量が落ちることもあります。高温環境でも効率が落ちにくいパネルは、シリコン量の少ないアモルファスシリコン系などがあり、高温下でも安定した発電が可能です。
雨天後にメンテナンスを実施する
太陽光パネルは雨が降ることで表面の汚れがある程度自然に洗い流されるよう設計されています。しかし、雨だけでは落ちにくい汚れもあります。
たとえば、鳥のフンや樹液、工場からの排気や塗料などの汚れがこびりついてしまうと、雨の後も完全には落ちず残りやすいです。
これらの汚れが蓄積すると発電効率の低下やホットスポットの原因となるため、梅雨明けが適切な洗浄時期と言われています。
太陽光パネルが高温になる夏を迎える前にメンテナンスを実施し、天候に左右されにくい環境作りが重要です。
曇天に強い太陽光パネル(低照度対応型)を選ぶ
天候に左右されないためには、曇天に強い太陽光パネルを選ぶ必要があります。曇天や低照度環境でも発電効率が高いパネルには、単結晶シリコンや薄型ソーラーパネル、両面受光型ソーラーパネルなどがあり、曇りの日でも安定した発電が可能です。
低照度対応型パネルは価格が高めですが、投資対効果やメーカー保証、長期的な実用性も重要な選定ポイントとなります。また、マイクロインバーターやパワーオプティマイザーを導入することで、曇天時における太陽光システム全体の効率性を高め発電量を最大化できます。
変換効率の高いパワーコンディショナーを選ぶことも重要です。
天気・気候と発電量の関係
太陽光発電は、日照条件に大きく左右されるため、天候の違いが発電量に直接影響します。天候が発電効率にどのくらい差があるのか、3つのポイントに分けて解説します。
- 晴天時と曇天・雨天時の発電効率の差
- 晴天時の発電状況
- 曇天・雨天時の発電状況
晴天時と曇天・雨天時の発電効率の差

晴天時の太陽光発電は最大の発電効率を発揮しますが、曇りの日は本来のスペックに対して約40%〜60%程度に減少します。また、雨天時は10%〜20%程度まで発電量が低下します。これは、曇天や雨天、雪などでは太陽光が遮られパネルに届く太陽光が減少するためです。
しかし、散乱光により多少の発電は続くため、発電量が完全にゼロになることはありません。天候による発電量の変動を理解し、計画的な運用が重要です。
晴天時の発電状況
太陽光パネルは直射日光を受ける晴天時にもっとも安定した発電が可能です。特に春や秋など、適度な気温と晴天が重なる日は冷却効率も良く、パネルの発電性能が最大限に引き出されます。
一方、真夏の猛暑日は気温上昇によりパネル表面温度が高くなり、逆に発電効率がやや低下する場合があります。太陽光パネルに使われているシリコン半導体が熱に弱く、パネルの表面温度が25℃を超えると発電効率が低下するためです。
曇天・雨天時の発電状況
曇天や雨天時は、雲や雨粒が太陽光を遮るため、パネルに届く日射量が大きく減少しますが、散乱光によって発電は継続します。曇りの日は晴天時の40%〜60%、雨の日は10%〜20%程度の発電量となるのが一般的です。
最新の太陽光パネルの中には低照度でも発電できるタイプもあり、天気の悪い日でもある程度の出力を確保できるようになっています。
温暖地・寒冷地と発電量の関係
太陽光発電は、設置場所の気候条件によって発電量に大きな違いが生じます。温暖な地域と寒冷な地域では、日射量や気温の違いが発電効率に影響を与えるため、それぞれの特徴と発電状況について詳しく解説します。
温暖地の発電状況
温暖地は日照時間が長く、太陽光発電に適した地域です。しかし、夏場はパネル表面温度が80℃近くまで上昇し、発電効率が大きく低下することがあります。このため、発電量を安定して維持するには「暑さ対策」が重要です。
現在主流のシリコン系パネルでは、耐熱性の高いHITやアモルファスなど、温度上昇に強いパネルを選ぶことで温度上昇による発電ロスを抑えられます。
また、スプリンクラーによる散水冷却などが有効です。暑さ対策を行なうことで、温暖地でも安定した発電が期待できます。
寒冷地の発電状況
寒冷地では日照時間が短いものの、気温が低いため太陽光パネルの発電効率は高く保たれやすい特徴があります。低温環境ではパネルの半導体特性が向上し、発電効率が上がるためです。
一方で、積雪による発電量低下や設備への負担が課題となります。雪を自然に滑り落ちやすくするよう、太陽光パネルの設置角度を大きくする必要があります。また、定期的な除雪や表面の清掃を行うことが重要です。
積雪対応型の架台や太陽光パネルを選ぶことで、寒冷地でも安定した発電が期待できます。
落雷が太陽光発電設備に与える影響と対策
雷による直接的または誘導的な電流が太陽光発電設備に影響を及ぼすことがあります。落雷による故障や発電停止は、収益に直結するため、事前の対策と落雷後の確認が非常に重要です。
落雷による発電設備の故障リスク
北関東など雷が多い地域では、落雷による電源トラブルや通信障害が発生しやすく、遠隔監視の一時停止や発電停止のリスクが高まります。
雷リスクの高いエリアは日照条件にも恵まれていることが多く、立地判断は単純ではありません。だからこそ、機器選定・保険加入・リスク認識など、長期運用を前提とした備えが不可欠です。
避雷設備の設置とその効果
落雷による設備故障を防ぐには、SPD(サージプロテクタ)や避雷針などの避雷設備の導入が有効です。特に山間部や落雷が多い地域では、発電機器や通信機器が過電圧によって損傷するリスクが高いため、事前対策が不可欠です。
一方で、落雷が多いエリアほど日照条件に優れる傾向があり、投資地としては魅力的な面もあります。そのため、雷リスクを完全に回避するのではなく、設備面で備えた上で収益性を確保するという考え方が現実的です。
落雷後に確認すべきチェックポイント
落雷が発生した際は、まず遠隔監視装置で発電量の急減や通信異常がないかを確認しましょう。遠隔操作での再起動ができない場合は、速やかに現地対応を行う体制を整えておく必要があります。
異常がなくても、後日点検でパワコンやSPDの状態を確認することで、見えない損傷を早期に発見できます。
雨が多い梅雨の時期と発電量の関係
雨が多い時期の発電量が少なくなるかといえば、そうとも限りません。当社のデータを基に、梅雨の時期と発電量の関係について3点解説します。
- 梅雨時の発電量
- 梅雨の影響が大きくなる地域
- 梅雨時の工事の問題点
梅雨時の発電量
以下のデータは、弊社が保有する容量250.980kWの北茨城市所在の太陽光発電所における、年間の売電収入および発電量の実績です。
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年間 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
売電収入(円) | 543,351 | 819,284 | 1,037,282 | 1,219,838 | 1,216,710 | 1,525,312 | 1,073,318 | 1,419,224 | 1,139,727 | 786,416 | 688,604 | 525,333 | 11,994,399 |
発電量(kWh) | 13,721 | 20,689 | 26,194 | 30,804 | 30,725 | 38,518 | 27,104 | 35,839 | 28,781 | 19,859 | 17,389 | 13,266 | 302,889 |
梅雨時期は雨や曇天が続くため発電量が少なく感じられますが、実際には冬季の日照時間が短い時期よりも発電量は多いです。
当社の発電データでも、梅雨にあたる6月(38,518kWh)や7月(27,104kWh)は曇りや雨の日が多いものの、冬の12月(13,266kWh)や1月(13,721kWh)よりも日射量が確保でき、発電量も上回っています。
したがって、梅雨時でも太陽光発電は十分に稼働し、年間を通じて見れば冬よりも発電に適した時期といえます。
梅雨の影響が比較的大きくなる地域
梅雨の影響が大きいのは、太平洋側の中〜南日本地域(特に西日本)です。これらの地域では梅雨時の長雨や曇天により、月間発電量が晴天月の6割以下に落ち込むこともあります。
一方、日本海側の北部地域(山形・秋田など)は梅雨の影響が比較的軽微です。当社ではプロモニタリングサービスを提供しており、発電量を常時監視し、必要に応じて迅速な点検や洗浄を手配できる体制を整えています。
梅雨時の工事は避けた方が無難
梅雨時の太陽光発電設置工事は、天候不良による工期の遅延や中断リスクが高まるため、避けた方が無難です。雨天や湿度による施工品質にも悪影響が出やすく、安全面にも注意が必要です。
また、設置直後の発電テストも天候の影響で正確に行いにくいという問題もあります。
梅雨明けの7〜9月は日照量が多く、設置後すぐに発電効果を実感しやすいため、パネル性能を最大限活かしやすいよいタイミングといえます。
まとめ:太陽光発電と天気の関係性はある!天気が悪い中でも発電効率を高める方法を解説
本記事では、天気ごとの発電状況や効率を高める工夫、梅雨時の設置ポイントなどを解説しました。太陽光発電は天候によって発電量が大きく変動しますが、曇りや雨の日でも散乱光により発電は続き、完全にゼロになることはありません。
一方で、真夏の猛暑日は太陽光パネルの温度の上昇により、発電効率がやや低下する点にも注意が必要です。太陽光発電は、天候や気候条件に左右されるので、設置場所や角度、冷却対策を意識するなど適切な対応をとることで安定した発電が期待できます。
グッド・エナジーではモニタリング、点検、清掃、緊急対応まで一貫したO&Mサービスを提供し、長期的な安心運用をサポートしています。設置後のサポートまでしっかり任せたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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