全量売電と余剰売電の違いは?対象条件や売電収入を増やす方法を解説!
太陽光発電設備で発電した電力を、どのように売電し利益を出すのかは大きな課題です。太陽光発電事業をする際は、全量売電と余剰売電の2つの選択肢があり収益性に大きく影響します。
「全量売電と余剰売電の違いを知りたい」「全量売電と余剰売電の確認方法を知りたい」と思っている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、以下の内容について解説を進めます。
- 全量売電と余剰売電の違い
- 全量売電と余剰売電の確認方法
- 全量売電と余剰売電はどちらがお得なのか
また、売電収入を上げるポイントについても紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
売電制度(FIT制度)の仕組み
売電制度(FIT制度)は、太陽光発電など再生可能エネルギーによる発電を行った際、その電力を経済産業省が定めた価格で電力会社に売電できる制度です。
FIT制度(固定価格買取制度)とは、発電した電力を一定期間、固定価格で買い取る仕組みで、毎年、経済産業省が売電単価を決定します。
産業用太陽光発電の場合、FIT制度の契約期間は20年で、この期間は国が定めている金額で電気を売電することができます。
売電価格の推移を見ると、FIT制度が導入されて以来低下を続け、2012年度は40円/kWhでしたが、2022年度は11円/kWhとなり、2024年度は10円/kWhです。
全量売電と余剰売電の違いは?
全量売電は発電した電力のすべてを電力会社に売電する方式で、余剰売電は自家消費を優先し、使いきれずに余った電力を売電する方式です。
全量売電は電力会社に全て売電するため収益が安定しやすく、余剰売電は自家消費を優先し残りを売電することで、効率的なエネルギー利用が可能となります。それぞれの特徴について、この後詳しく解説します。
全量売電とは
全量売電は、太陽光発電で発電した電力を全て電力会社に売電する方式です。
全量売電は、設備容量が50kW以上の規模の大きい太陽光発電が対象で、固定買取価格での期間は20年間あります。
固定買取価格は年々下がっており2024年度は9.2円/kWhとなっているものの、収益性も高く事業が安定しやすいです。
また、10kW以上50kW未満の設備に関しては、農地の上にソーラーパネルを設置して農業と発電を両立させる「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」が条件付きで全量売電の対象となります。
全量売電の条件は以下の2点です。
- 災害時に電源として使用できること
- 10年間の一時転用が認められること
また、荒廃農地の再生や農地の第2種・第3種を利用する場合、ソーラーシェアリングによる農地転用が最長で10年間認められています。
余剰売電とは
太陽光発電で発電された電力のうち、家庭や事業所で使い切れなかった分を電力会社に売電する仕組みが余剰売電です。
余剰売電は小規模な太陽光発電設備が対象で、具体的には、10kW未満の住宅用と10kW以上50kW未満の産業用が該当します。
2024年時点での買取単価は、住宅用が1kWh/16円、10kW以上50kW未満の産業用が1kWh/12円です。産業用の場合、発電量の30%以上を自家消費することが要件です。
買取期間は住宅用が10年間、事業用が20年間と定められており、制度を利用するには自家消費支出計画書などを提出する必要があります。
また、10kW以上50kW未満では、運用開始後も自家使用率30%以上を維持しなければなりません。この条件を満たせない場合、FIT制度の認定が取り消される可能性があります。
全量売電と余剰売電を確認する方法は?
電力会社に発電した電力のすべてを売電する全量売電と、電力を自家消費した後に余った電力を売電する余剰売電については、「設備の容量」「FITの買取期間」「自家消費があるかないか」から確かめることができます。
余剰売電と全量売電の違いは次の表の通りです。
余剰売電と全量売電の違い | |||
設備容量 | FIT買取期間 | 自家消費の可否 | |
余剰売電 | 10kW未満10kW以上50kW未満 | 10〜20年 | 可能 |
全量売電 | 50kW以上 | 20年 | 不可能 |
全量売電と余剰売電は選択できる?
FIT制度の初期段階では、10kW以上の設備であれば全量売電と余剰売電のどちらかを選択することが可能でした。
2020年度の制度改正により、50kW未満の設備は全て余剰売電に変更され、全量売電は50kW以上の設備に限られています。
しかし、ソーラーシェアリングの場合は、「非常用電源として災害時に使用できること」「10年間の一時転用が認められること」など、一定の条件を満たせば50kW未満でも全量売電が可能です。
50kW以上250kW未満の設備は全量売電になります。
全量売電と余剰売電のどちらがお得なのか?
2020年から、10kW以上50kW未満の太陽光発電設備は余剰売電の対象となりました。利益目的の投資として考える場合は、50kW以上の設備で全量売電を行う方が効果的です。
また、近年は売電単価が年々下がっており、その一方で電気料金が上昇しているため、余剰電力を売電せず蓄電池に貯めておき自家消費した方が得だという考え方も出ています。
それぞれのメリットを考慮して選択するのが最適でしょう。以下、2024年の売電単価や自家消費の概要についても解説するので参考にしてください。
2024年の売電単価
売電価格は年々下がっており、2024年度の売電価格とFIT制度初期の42円/kWhと比較すると大幅に価格が下がっています。
また、余剰売電の上限は発電量の50%以下と定められています。
2024年度における1kWhあたりの売電単価 | ||||
10kW未満 | 10kW以上50kW未満(屋根設置) | 50kW以上(屋根設置) | 10kW以上50kW未満 | 50kW以上(地上設置) |
16円(出力抑制関係なし) | 12円 | 12円 | 10円 | 9.2円 |
自家消費に切り替える方法もある
自家消費とは、太陽光発電で発電した電力を自宅や施設で直接使用することです。自家消費に注目が集まる理由は、電気代の高騰や脱炭素経営など環境問題への対応が挙げられます。
自家消費のメリットには以下の3つがあります
- 発電した電力を自家消費することで電気代が削減できる
- 太陽光発電の電力を使うことで脱炭素経営ができる
- 蓄電池との組み合わせで災害時にも電気が使用できる
自家消費に切り替えるには、パワーコンディショナーなどの自家消費用設備の導入が必要です。
2022年度より導入されるFIP制度
FIP制度は「フィードインプレミアム(Feed-in Premium)」の略称で、2022年4月から導入された新しい再生可能エネルギーの買取制度です。
50kW以上の設備が対象で、250kW以上の設備はFIP制度のみが適用されます。FIP制度の特徴は、卸電力市場の影響を受け売電単価が変動する点です。
売電収入は市場価格に連動してプレミアムを上乗せした形で交付されます。
再エネ発電事業者は市場の変動に対応した収益を得ることができますが、安定した価格保証がないため、市場の動向を注視しなければなりません。
太陽光発電の投資で利益を増やす方法
太陽光発電事業で利益を増やす方法は3つ考えられます。それぞれ詳しく解説します。
- 発電量を増やす
- 全量売電する
- 中古の設備を活用する
発電量を増やす
太陽光発電で売電収入を増やすためには、売電量を増やすことが基本です。
これから太陽光発電事業を始める場合は、耐久性やコストパフォーマンスが高いソーラーパネルを選ぶなど、発電効率の高い設備を導入することがポイントとなります。
また、太陽光発電設備は時間とともに劣化するため、定期的なメンテナンスが重要です。パワーコンディショナーが故障すると発電量を低下させるため、表示板や電力モニターの点検を行い、安定した発電量を確保しましょう。
50kW以上の高圧設備で全量売電する
50kW以上の高圧設備を導入して全量売電を行うことにより、太陽光発電の投資で売電収入を増やすことができます。
初期費用は低圧設備と比べて高額になりますが、規模が大きいため1kWあたりのコストは低下します。
また、多くの電力を売電できることから、投資回収も比較的早く行えるでしょう。
ただし、高圧設備を導入する際には、キュービクルの設置や主任電気技術者の選任義務が法律で義務付けられており、低圧には必要のなかった費用が発生する点にも注意が必要です。
これらの費用を考慮しつつ、長期的な利益が見込めるか収支シミュレーションを行い、投資判断をすることが重要です。
中古の太陽光発電設備を活用する
中古の太陽光発電設備を活用することで、費用を抑えて投資を始めることができます。
2020年以降、新規に導入する10kW以上50kW未満の設備は余剰売電のみとなっていますが、すでにFIT認定を受けている中古設備であれば、全量売電で売電することが可能です。
FIT制度が使える中古の太陽光発電は、新規設備に比べて効率的に収益を得ることが期待できます。
また、50kW以上の高圧設備に比べて初期費用を抑えられるため、資金が限られている場合でも投資をスタートしやすいです。
中古設備は経年劣化による発電量の減少などリスクもあるため、事前の調査が重要となります。まずは中古太陽光の販売実績がある業者へ相談すると良いでしょう。
高価買取が期待できる中古太陽光市場
現在、中古太陽光発電市場では、太陽光発電への投資を検討する投資家が増えています。
FIT制度の変更により、自家消費率が30%以上求められるなど、10kW以上50kW未満の低圧での新規事業は難しくなっています。
投資家にとって、中古物件は過去の売電実績から購入後の収支予測が立てやすくリスクを抑えた投資が可能となり、購入後すぐに売電利益を得られる点が大きな魅力です。
しかし、中古太陽光発電市場に出回る中古発電設備の数が限られているため、売り手市場となっています。
こうした背景から、事業者にとって、売却を決断すれば迅速に現金化できる今が太陽光発電所を売却する絶好のタイミングと言えるでしょう。
以下の記事では、高価買取を実現するポイントを解説しているので、ぜひ合わせてご覧ください。
まとめ:太陽光発電所の買取、販売ならグッド・エナジーにお任せください
太陽光発電には、全量売電と余剰売電の2つの売電方法があり、設備容量・FIT買取期間・自家消費の可否から確認できます。
全量売電は発電した電力をすべて電力会社に売電する方式で、50kW以上の設備や2020年度以前にFITを取得した設備で採用されています。
余剰売電は自家消費分を差し引いた電力を売電する方法です。
どちらが得かは、使用量や設置条件によりますが、利益目的の投資として考える場合は、50kW以上の設備で全量売電を行う方が効果的です。
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